防衛産業へ投融資、銀行が苦慮=政府が要請、政投銀は制限撤廃も

AI普及で需要拡大の機器とは?

 政府が協力を求めている防衛産業への投融資を巡り、大手銀行など民間金融機関が対応に苦慮している。政府系の日本政策投資銀行は武器製造関連企業への投融資の運用ルールを変更し、制限を撤廃した。民間金融機関は「今後も個別に判断していく」(メガバンク関係者)とするが、企業イメージの低下や中国など海外事業への影響を懸念し、慎重な姿勢を崩していない。
 「防衛分野で事業を継続し、成長していくためには投資や融資を適切なタイミングで受けられることが不可欠だ」。小泉進次郎防衛相は7月、全国銀行協会などとの意見交換会で、防衛産業に対する投融資の促進を要請した。
 高市政権は成長戦略で防衛産業を官民で重点投資する戦略17分野の一つに指定。ドローンなど軍民両用品(デュアルユース)の技術・生産基盤の強化を目指しており、新興企業への成長資金の供給が課題となる。小泉氏は「防衛産業は(企業価値や信用が低下する)レピュテーションリスクが語られるなど否定的な意見や見方があるが、こうした状況は変えなければならない」と訴える。
 政投銀は5月、国内の武器製造関連企業への投融資のルールについて、これまでの「慎重に対応する」から「検討可能」に変更した。政府が防衛装備移転三原則と運用指針を改定し、殺傷能力を持つ武器の輸出を原則的に解禁したことや、国際情勢の変化などを踏まえ、ルール変更に踏み切った。
 一方、民間金融機関の動きは鈍い。これまでも大手金融機関はクラスター弾など国際条約で禁じられている非人道的な兵器を製造する企業への投融資は禁じてきた。全国銀行協会の加藤勝彦会長(みずほ銀行頭取)は7月の記者会見で「条約で禁じられているものを除けば、一律的な制限はない。案件や企業単位で個別に対応可否を判断している」と説明した。
 ただ、メガバンク幹部は「業界を挙げて防衛分野に取り組むことに、少しためらうのは事実だ」と打ち明ける。日中関係が冷え込む中、中国ビジネスへの影響を懸念する声も上がる。金融業界は、国の安全保障政策にどう向き合うのかを問われている。 
〔写真説明〕軍民両用(デュアルユース)技術の新興企業の資金調達支援に向けた金融業界関係者との意見交換会で発言する小泉進次郎防衛相=7月15日、防衛省