成田空港ド真ん中の“時が止まった謎駅”まさかの復活? 旧空港駅「東成田駅」の今と未来 「日本一短い鉄道」の先は

なぜ?計測器業界に好業績期待

成田空港の大規模リニューアル計画で、かつて空港の玄関口だった東成田駅が再び脚光を浴びています。地味な存在となった駅の今と、接続する「日本一短い鉄道」の姿を見てきました。

厳重な検問も…かつての玄関口、今はひっそり

 2026年7月、国土交通省の検討会で、成田空港に新設される旅客ターミナルに京成電鉄の高架駅を設け、「東成田駅」と一体的な運用を検討する方針が示されました。これは、2030年代に進められる「第2の開港」とも呼ばれる大規模リニューアルの一環です。

 この計画で、再び表舞台へ返り咲く可能性が出てきた東成田駅。かつては「成田空港駅」として開業したこの駅の今と、そこから延びる「日本一短い鉄道」芝山鉄道の現状を取材しました。

 東成田駅は、1978年5月21日に「成田空港駅」として開業しました。当時は第1旅客ターミナルしかなく、駅はターミナルから少し離れた場所にありました。なぜ、ターミナルのすぐそばに設けられなかったのかというと、当初の計画では成田新幹線(のちに建設中止)が第1旅客ターミナルに乗り入れる予定だったからです。そのため、東成田駅とターミナルの間はシャトルバスで結ばれていました。

 筆者(咲村珠樹:ライター・カメラマン)も開業当時に利用したことがありますが、空港建設に反対する過激派によるテロ事件などが多発していたため、駅の出入口には検問所が設けられていました。身分証明書の提示や手荷物検査を受けるなど、物々しい雰囲気だったことを覚えています。この検問は過激派の活動が下火になるにつれて簡略化され、2015年に廃止されました。

 現在の東成田駅の地上出入口は、看板を除いて開業当初の姿をほとんど留めています。裏手では、2028年2月末の完成を目指し、高さ120mと日本一になる新管制塔の建設が進められています。

 東成田駅へのアクセスは、第2旅客ターミナルからが便利です。1992年に供用を開始したJR・京成の「空港第2ビル駅」コンコースから、東成田駅へ通じる連絡通路が設けられています。

 この連絡通路は長さ500m。中間に長い直線を挟んだクランク状の構造で、普段は利用する人もまばらです。ただ通路が延々と続いている光景は、まるでゲームの「8番出口」をプレイしているような気分になります。

時が止まった「旧・成田空港駅」

 長い通路を抜けて東成田駅のコンコースにたどり着くと、その広さに驚かされます。多くの利用客で賑わった「成田空港駅」だった時代を感じさせる空間です。奥の壁には、1980年に設置された「曲水の宴」をモチーフにした大きな陶板レリーフがあり、海外からの利用者を迎えた歴史を物語っています。

 鉄道ファンの間では有名な駅だからか、きっぷ売り場にはコミュニケーションノートが設置されています。書き込みの中には、あえて東成田駅から京成線で帰るという乗り鉄もいるようです。

 地下2階のホームは、島式2面4線のレイアウトですが、現在は1つのホームと2本の線路しか使われていません。かつて特急「スカイライナー」などが発着したホームは立ち入り禁止になっており、そこには「成田空港」と書かれた駅名標や当時の広告、木製のベンチが残されています。まるで1991年で時が止まったタイムカプセルのようです。

 この木製ベンチは現役ホームにも残されており、利用客が少ないことも相まって、どこか異世界へ向かう列車がやってきそうな不思議な雰囲気を醸し出しています。

 東成田駅からは、芝山鉄道が接続しています。この鉄道は、成田空港建設で東西の交通が分断された芝山町などの利便性を図るため、国の約束に基づき2002年に開業した第3セクターの鉄道です。

 路線は東成田駅~芝山千代田駅の1区間2.2kmのみ。旅客営業を行う第1種鉄道事業者としては日本最短で、芝山鉄道は自ら「日本一短い鉄道」とアピールしています。なお、交通系ICカードは利用できないため、乗車券の購入が必要です。

 路線は地下トンネルと高架で構成され、トンネルを抜けた先には半径160mの急カーブがあります。これは、建設予定地にあった空港建設反対派の土地を避けるために設計されたものです。

 終点の芝山千代田駅は、空港の整備場地区に隣接しています。そのため、朝夕は日本航空など空港関連事業所へ通勤する乗客で賑わいます。

区間列車を担う車両たち

 東成田駅を発着する列車は、朝のラッシュ時を除くと30~40分に1本程度です。その多くは京成成田駅と芝山千代田駅を結ぶ区間列車で、芝山鉄道の4両編成が使用されます。

 現在の使用車両は、2026年4月から投入された元京成3600形の芝鉄3600形です。これは3代目の車両で、開業時には同じ3600形の別編成を京成電鉄からリースしていました。

 1991年に(新)成田空港駅が開業し、京成本線の駅から東成田線の駅へと変わって以来、地味な存在に甘んじてきた東成田駅。しかし、2030年代に予定される成田空港の大規模リニューアルで、再び重要な役割を担うことになりそうです。

 計画では、これから詳細設計や運用方針が決められますが、京成東成田線と芝山鉄道が忘れられた盲腸線のようになっている現状から脱却し、新たな脚光を浴びる存在になるかもしれません。羽田空港から都心を経由する新アクセス特急とともに、東成田駅の変貌が楽しみです。