法制審議会(法相の諮問機関)で今後議論される民事訴訟法の見直しでは、裁判所に提出された証拠の「目的外使用」を禁じる規定を導入するかどうかが注目される。近年、検察の取り調べの違法性を問う国家賠償請求訴訟が相次いで起こされており、識者は同様の訴訟で証拠提出される取り調べ映像の「公開制限」を懸念する。
刑事訴訟法は、検察が開示した証拠を刑事手続きやその準備以外の目的で使うことを罰則付きで禁止している。7月に成立した改正法で、再審手続きにも禁止規定が盛り込まれた。
一方、民訴法に同様の規定はなく、刑事裁判で目的外使用が禁じられた証拠でも、民事訴訟で国側が裁判所に提出すれば、原告側が世論喚起のためにマスコミなどを通じて公開できる。ある検察幹部は「民事になると途端にオープンとなり、欠陥があると思っていた」と漏らす。
2022~24年には、検事から違法な取り調べを受けたとして、無罪が確定した元社長ら3人がそれぞれ国に損害賠償を求めて提訴。いずれも法廷で取り調べ映像が再生され、横浜地検を巡る訴訟では原告側の弁護団が映像をユーチューブにも公開した。法務省は今年2月、法廷での再生は避けるなどの公開制限を検討するよう各地の法務局に通知した。
法制審での議論について、法務省民事局は「知る権利などとの調整をどう図るかが検討されていくと考えている」と説明。元判事の水野智幸・法政大法科大学院教授は、「裁判の公開は憲法上保障された重要な制度。制限する場合は明確な根拠を設ける必要がある」と話している。