「移動の確保」が復旧の分岐点になる――地震の復旧に奔走する熊本市長に聞く 新幹線開通「こんなに早く」「鹿児島も助かる」

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2026年熊本地震で被災した熊本市の大西一史市長にインタビュー。九州新幹線や道路網など「移動の確保」が、ライフラインと同じかそれ以上に復旧の鍵を握ると語ります。“移動の確保”は熊本以外、鹿児島県でも深刻な状況にあります。

「まさかこんなに早く」――新幹線復旧、官房長官も驚いた理由

 2026年熊本地震発生から1か月のタイミングで、熊本市の大西一史市長がたびたび政府や中央官庁を訪れています。大西氏は8月17日、全国市長会で防災対策特別委員長として緊急要請を行い、8月28日には熊本市長として、内閣官房、関係省庁に働きかけを行いました。その前日にはJR九州が熊本地震で被災した九州新幹線の運休区間の復旧見通しを出しています。

 8月28日、木原 稔官房長官と面会した大西一史市長に、被災地の復旧・復興で鍵となる「移動の重要性」について聞きました。

「昨日、九州新幹線の熊本~新水俣間の運転を9月18日始発から再開すると発表がありました。金子恭之国土交通大臣も、JR九州さんとかなり話をしてくださって実現にこぎつけることができました。正直、木原官房長官も私自身も『こんなに早く』と驚いているんです。私はもっと時間がかかると思っていましたから。これは熊本県内はもちろん、鹿児島の皆さんにとっても本当に助かることなのです」

 熊本地震で九州新幹線も、高架橋の橋脚部分やレールの歪み、駅舎などの損傷を受けました。現在は新水俣-鹿児島中央間で、減便して運行を続けています。

「『熊本の地震だから鹿児島は関係ないでしょう』と思われがちなんですが、実は鉄道がつながっていないというだけで、鹿児島中央駅は本当に人が少なくなってしまった。鹿児島県市長会の本坊輝雄会長(南さつま市長)も、緊急要請でご一緒したときにおっしゃっていました。鹿児島が観光で厳しい状況に置かれている、その根っこには移動手段の問題があるんです」

 2016年の熊本地震でも、熊本市は震度6強という強い揺れを経験しています。今回、影響は観光だけに留まるものではないと、大西市長は語ります。

「10年前の熊本地震のときは、脱線で九州新幹線が1週間止まり、ボランティアの方々もなかなか現地に入れませんでした。今回は熊本までは入れても、そこから先の八代方面に行けない。そうなると、そこでもう復旧のスピードに差が出てしまう。水道や電気、ガスといったライフラインはもちろん大事ですが、鉄道や道路といった『動脈』も、それと同じか、それ以上に大事なんです。復旧が早いということは、災害支援も入りやすくなるんですね」

「通行止め」で生じるもう一つの復旧格差

 一方、道路網では九州地方の高速道路のほぼ全てで一般車両の通行が可能になりました。ただ、九州自動車道は全線で再開されましたが、宇城氷川スマートIC-八代IC間は下り線で対面通行となっており、被害の大きかった「川田橋」を含む本格復旧は、2027年末を予定しています。

 南九州自動車道は八代JCT-八代南IC間で通行止めのままで、ネックとなっている「妙見第一橋」の復旧に、NEXCO西日本は少なくとも2年を見込んでいます。

 そうした事態を見込んで、大西市長は移動確保のためのダブルネットワークを支持しています。

「生活インフラの再建を目指す上でも、道路が復旧しなければ、給水車も現地には持っていけません。だからこそ、国土交通省さんが今進めているダブルネットワークの構築というのは、非常に重要だと思っています。これは10年間で何度も被災してきて、本当に骨身に染みて感じていることです。移動の確保が、実は被災地の復旧にものすごく重要になります。早期復旧なのか、遅れるのかっていうのがものすごく決定的な差になる。移動手段についての応援を、これからもぜひお願いします」