【ビドゥール(ネパール中部)時事】土石流災害から辛うじて生還したネパールの被災者の多くは、一時避難所に身を寄せている。しかし、自宅や財産を失い、将来への不安は募るばかりだ。発生から2日で1週間がたってもなお、被災地では救助や捜索活動が続く。
「もう故郷には帰れない。次に戻るとしたら私が亡くなった時だろう」。被害の激しかった中部ラスワ郡の主婦ヤン・チェンさん(69)はそう言って目に涙を浮かべた。土石流で義理の娘(26)ら親族3人を失い、自宅も流された。
2日、ラスワ郡にある一時避難所から中部ヌワコット郡ビドゥールの軍駐屯地にヘリで運ばれてきた。自身や夫(80)が持病を抱えており、薬を受け取るためだ。「金もないから薬を買えない。もう何も残っていない」。避難所で出されるのは粗末な食事だけで、電気や電波もないと嘆く。
「あと何日ここにいればいいのか」。避難所となっているビドゥールの学校で、ブッダ・ラル・タナンさん(30)は疲労の色をにじませた。「トゥクトゥク」と呼ばれる三輪自動車タクシーの運転手だったが、「そもそも道路がなくなってしまった。この先どう生きていけばいいか分からない」と不安そうに話した。
被災地では重機が稼働し、土砂の除去や道路の復旧が行われている。ただ、中国国境に近いトリシュリ川沿いの水力発電所トンネルの内部には、いまだ数百人が閉じ込められているとみられ、救出作業が続く。作業に携わる技術者ニルマル・ダハルさん(49)は「大きな岩が入り口をふさぎ入れない。人手やショベルカーが足りない」と語った。
〔写真説明〕土石流による被害が残るネパール中部ビドゥールの集落=2日
〔写真説明〕2日、ネパール中部ビドゥールの軍駐屯地で取材に応じる土石流被災者のヤン・チェンさん
〔写真説明〕2日、ネパール中部ビドゥールで、避難所の学校で取材に応じる土石流被災者のブッダ・ラル・タナンさん(右)
〔写真説明〕土石流に見舞われたネパール中部ビドゥールの集落=2日