【サンパウロ時事】南米ペルーのケイコ・フジモリ大統領の就任から1カ月が経過した。治安回復や災害対策など国民の関心事に注力し、各世論調査の支持率は約6割に達する。ただ、エルニーニョ現象による災害の激甚化が懸念されるほか、一部地方では燃料高対策を求めるストライキや抗議活動も発生。政権運営は油断できない状況が続く。
◇首都で非常事態宣言
「市民の命を脅かす犯罪への闘いが政権の最優先課題だ」。8月9日に首都リマで開催された警察官の表彰式で、フジモリ氏は険しい表情で語った。
8月末までの今年の殺人事件の犠牲者数は1392人に上り、うち約4割がリマ州で発生。白昼堂々、強盗殺人が行われるなど治安の悪化が顕著になっている。
フジモリ氏は治安対策のため、街頭や公共交通機関への軍の配備を決定。同28日にはリマ首都圏などに60日間の非常事態宣言を発令し、治安維持で軍が警察を支援できるようにした。
◇寄り添う姿勢をアピール
国民の関心が高いエルニーニョ現象への対策にも力を入れる。洪水や干ばつの被害軽減のため8億ソル(約380億円)の拠出を発表。大雨による地滑りで幹線道路が寸断された南部アレキパなど被災地を訪問し、国民に寄り添う姿勢をアピールしている。
8月下旬に行われたトラック運転手らによるストライキでも、組合代表者との協議の場を設置。しかし、政府の対策は不十分として、抗議活動はその後も続いた。大統領選でフジモリ氏に投票した有権者が「政権は場当たり的な対応ばかりだ」と批判する姿も報じられ、地元メディアは「治安など喫緊の課題対応に集中しているが、目指す国家像は見えてこない」と指摘する。
外交面ではメキシコとの外交関係を再開し、近隣国との関係強化を図る。フジモリ氏は11月に中国広東省深センで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議への参加に意欲を示しており、本格的な外交デビューの場となりそうだ。日系3世のフジモリ氏は対日関係を深化させたい考えで、早期の訪日も期待される。
〔写真説明〕ペルーのケイコ・フジモリ大統領=8月27日、リマ(EPA時事)