なり手がいない!無人の「潜水艦」日本も導入へ? 攻撃も可能な“特大サイズ無人機”世界で開発競争

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防衛省がAI搭載の無人潜水機導入を検討しているようです。乗員不足に悩む海上自衛隊の“切り札”になるのでしょうか。世界では「超大型無人潜水艦」も現実になりつつあります。

防衛省も「XLサイズのUUV」に乗り出すか

 読売新聞は2026年8月13日、複数の防衛省関係者の話として、同省が人工知能(AI)を搭載する無人潜水機(UUV)を導入する方向で調整を進めていると報じました。このUUVは直径1.8mの円筒形状で、前部に水中音波探知機(ソナー)、後部にスクリューを備えるものだとしています。

 UUVをめぐっては、防衛装備品の開発を行う防衛装備庁は2019年度に三菱重工業との間で、自律航行型UUVの開発契約を締結しています。この契約に基づいて開発されているUUVは警戒監視や海洋情報の収集を主目的とする2タイプがあり、海洋情報の収集に用いるタイプは既に完成しています。光学センサーを搭載する警戒監視型も、2028年度には開発完了すると読売新聞は報じています。

 一方、今回新たに開発されると報じられたUUVは、より大型のものになるようです。防衛省は8月31日に発表した令和9年(2027)年度予算の概算要求に「UUV水中戦用モジュールの研究」と「UUV用水中給電」の研究のための経費を盛り込みました。

 UUV水中戦用モジュールは、魚雷やミサイル発射装置などの攻撃能力を、任務に合わせたモジュールの交換によって実現するものです。令和9年度予算の概算要求では、予算の金額を2026年内に策定される見込みの新たな防衛関連三文書決定後に定める、いわゆる「事項要求」の形で計上されています。

 これは、給電装置の研究費が要求されていることなどから見て、他国で「XLUUV」(Extra Large Uncrewed Undersea Vehicle:超大型無人潜水艦)に分類されるものになるのではないかと思います。

「有人潜水艦に匹敵」各国で進む開発

 XLUUVは乗組員を乗せずに数か月にわたる長距離・長期の任務を遂行できる、全長10m以上の大型自律型潜水無人機を指します。その開発や戦力化は各国で進んでいます。

 アメリカ海軍海洋システム軍団は2022年から、ボーイングが開発したXLUUV「オルカ」の試験運用を開始。2026年7月には、オルカが東太平洋において1000海里(約1850km)に及ぶ長距離パトロール航行を完了したと発表しています。

 イギリスのBAEシステムズとフランスのタレスは共同で、XLUUV「ヘルン」の開発を進めています。ヘルンは防衛省が開発すると報じたUUVと同様、モジュラー構造を採用しており、魚雷発射モジュールを搭載して対潜水艦戦へ使用することも検討しています。

中国は“超巨大XLUUV”も 台湾は難航?

 ネイバルニュースなど複数の海外メディアは、中国も5種類以上のXLUUVの試験を進めていると報じており、2025年8月15日付のニューズウィークは、その中に有人潜水艦に匹敵する、全長40~45mのタイプも含まれていると報じています。

 XLUUVの開発を進めているのは大国だけではありません。台湾の造船企業、竜徳造船は2025年9月に開催された防衛装備展示会「台北国際航空宇宙・国防工業展(TADTE)」で、対潜戦に使用できるXLUUV「ブラックホエール(黒鯨)」の実大モックアップを発表しています。

 台湾海軍は2026年9月現在、初の国産潜水艦「海鯤」の戦力化に向けた公試を行っていますが、戦力化が遅れています。その要因は複数あるのですが、乗員の安全性を確保と深深度への潜航の両立はなかなか難しいようです。

 これは台湾海軍(現役4万名)とほぼ同規模の海上自衛隊(4万1463人)も同じで、水上艦艇の乗組員に比べて高いスキルや忍耐力を要求される潜水艦の乗員の確保には両者とも苦労しています。こうしたハード、ソフト両面の問題を抱えながら、対中国の潜水艦戦力に対する抑止力を構築する上で、XLUUVには大きな期待を寄せていると、台湾海軍の担当者はTATDEの会場で述べていました。

「潜水艦の悩み」は各国共通か

 海上自衛隊は2026年9月現在、たいげい型5隻、そうりゅう型12隻、おやしお型8隻(練習潜水艦として運用されている2隻を含む)、合計25隻の潜水艦を運用しています。

 たいげい型は、基準排水量2750tのおやしお型に比べて大型化している(同3000t)にもかかわらず、乗員数はおやしお型の70名よりも減少していると考えられています(正式な乗員数は非公表)。また、2020年からは女性自衛官の乗務も解禁されています。

 ただ、省力化や女性自衛官の乗務を認めても、前に述べたように水上艦艇の乗員に比べると高いスキルや忍耐力が求められる潜水艦の乗員を確保するのは容易なことではなく、海上自衛隊の基地では、乗員数不足から、いわゆる「めざし状態」で停泊している潜水艦の姿がしばしば目撃されています。

 少子化によりますます潜水艦乗員の確保が困難になるであろうことを考えれば、XLUUVの早期戦力化で抑止力を維持するのは、日本にとって急務なのではないかと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

【▶】まるでネッシー…ボーイングの“特大サイズUUV”(動画で見る)