ついにロシアも「無人艇」を多数投入か “航続500km超”の性能 ウクライナ側が得意戦術を“やり返される”可能性とは

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ウクライナ国防情報局は2026年8月18日、ロシアの無人水上艇(水上ドローン:USV)に関する詳細な情報を公開しました。この公開にはどのような意味があるのでしょうか。

ロシア軍の水上ドローンの性能向上を公表

 ウクライナ国防情報局は2026年8月18日、ロシアの無人水上艇(水上ドローン:USV)に関する詳細な情報を公開しました。

 今回の発表により、ロシア軍が最大1トンの搭載量を持つ無人艇を運用していることが明らかになりました。これらの水上ドローンは、最大500kmの航続距離を持ち、最高55ノット(約102km/h)の速度に達することができるとのことです。

 これまでロシア軍は黒海などで、黒海艦隊がウクライナ軍の無人艇によるロケット攻撃や自爆攻撃を受ける立場にありました。反撃しようにも、黒海にはウクライナ海軍の大型戦闘艦がほとんど存在せず、ロシア側は水上艦艇による本格的な反撃を行うことが難しい状況にありました。

 ところが、2026年に入ってからは、ロシア軍も黒海で無人艇を積極的に運用していることが確認されています。その役割は、偵察・測量、長距離偵察、物資輸送、機関銃やロケットランチャーによる攻撃、FPVドローンの運搬・発進など、多岐にわたります。

 実際に活動が活発化していることを示す事例として、ウクライナと同じく黒海に面するルーマニアでも、ロシアのものとみられる無人艇の不審な動きが確認され、戦闘機が緊急発進して対応した事例があります。

 当初、ロシア側では「スカンダ」と呼ばれる、ゴムボートをベースにした比較的簡易な無人艇などが確認されていました。しかし、その後ロシア軍は、より高性能な無人艇を次々と導入しています。

 今回、ウクライナ国防情報局が公開した「Vizir-700(ヴィジール700)」は、最大600kgを搭載し、最高80km/hで航行できます。さらに艦首には、機関銃やロケットランチャーを搭載するための兵装ステーションが設けられており、新型の「Vizir-2M(ヴィジール-2M)」も存在するとされています。

 さらに大型のモデルとしては「BEK-1000」があり、最大1トンの搭載物を500km以上の距離にわたって、40ノット(約74km/h)で輸送できるとされています。

 また、「Katran(カトラン)」という無人艇は、ウクライナのマグラシリーズと同様に敵勢力圏へ侵入し、前線から約100~200km離れた地点までFPVドローンを運搬し、そこから発進させることを目的として設計されているようです。

 このほかにも、魚雷の搭載・運用を目的とした無人艇や、木製で橋脚や艦船への攻撃に特化した無人艇などが確認されており、ロシア側のUSVは単純な艦艇攻撃だけではなく、さまざまな任務に対応する方向へと発展しているようです。

今回の情報公開は危機感の表れでもある!?

 現状では、水上ドローンの運用に関しては、ウクライナが一歩先をいっていますが、このアドバンテージはすぐになくなる可能性もあります。

 事実、2022年2月のキーウへの攻勢に失敗して以降、ロシアがインフラ攻撃などに多用していた、自律飛行能力を持つ一方通行型攻撃ドローンによる長距離自爆攻撃は、2026年現在、ウクライナ軍もロシア領内奥深くの石油施設などへの攻撃に使用しています。

 つまり、現在ウクライナ側が優位に立っている兵器・戦術を、今度はロシア側が大規模に運用するという、逆の立場になる可能性も十分にあります。

 事実、ロシアの通信能力は向上を見せ始めており、「ロシア版スターリンク」ともいえる、携帯型衛星インターネット端末「Spirit-030(スピリット030)」のロシア軍への配備も2025年5月頃から開始されています。

 これまでウクライナ軍は、ドローンの遠隔操作などにアメリカのスターリンクを使用し、遠隔地との通信経路を確保してきました。さらに、フィンランドの「ICEYE(アイスアイ)」が提供する衛星画像・SAR(合成開口レーダー)衛星の情報も組み合わせることで、通常の直接無線通信だけでは届かない距離にある戦場でも、ネットワーク経由で情報を収集し、ドローンを運用するなどして少なくとも前線でのドローン戦では有利な状況を作っていました。しかし、ロシアの衛星通信網が強化されればその効果も薄くなります。

 ウクライナはロシアの宇宙・衛星通信インフラ拡大を阻止するため、ロシア国内の宇宙関連施設などに対する巡航ミサイルやドローンによる攻撃も実施しています。ただし、ロシアの打ち上げ拠点は複数存在しており、さらにバイコヌール宇宙基地はロシアが運用に関与しているものの、カザフスタン領内に位置しているため、ウクライナによる直接攻撃は容易ではありません。こうした事情から、今後は衛星通信網をめぐる競争でも、ウクライナがこれまでの優位性を維持できなくなる可能性があります。

 そうなると、ウクライナがこれまで一方通行型攻撃ドローンでロシア領内への長距離攻撃を行ってきたのと同じような戦法を、ロシア側が水上ドローン、さらにその他の無人兵器でも実施するようになる可能性がかなり高まっています。そのため今回の発表でウクライナ国防情報局は「無人海上システムは、ウクライナに対するクレムリン(ロシア政府)のテロ計画だけでなく、世界各地の民間海運を脅かすうえでも重要な役割を果たしています」と主に西側国家に、国際的な問題であるとして協力を訴えています。