最大震度7を観測した熊本地震では、地域ごとの揺れの性質と建物の構造によって、被害の現れ方に差が見られた。現地を調査した東京科学大の吉敷祥一教授(建築構造)は、八代市では免震施設などを揺らしやすい周期の長い地震動が強かった一方、氷川町周辺では木造住宅に被害を与えやすい揺れが目立ったと指摘する。
吉敷教授は日本免震構造協会などと7月31日以降、八代市や氷川町などで免震施設を調査。庁舎や病院、マンションのほか、木造住宅の被害状況も確認している。
気象庁によると、八代市では、周期の長いゆっくりとした揺れの大きさを示す「長周期地震動階級」で最大の4を観測した。こうした揺れは免震構造の施設や高層ビルなどを大きく揺らしやすい。市内では日本製紙八代工場の煙突が倒壊しており、吉敷教授は「こうした揺れの特徴で説明できる被害だ」と話す。
一方、木造住宅の被害が見られた氷川町周辺について、同教授は「比較的周期の短い揺れが強かった」と指摘。こうした揺れは木造住宅や中規模のビルなどに大きな被害をもたらしやすく、「キラーパルス」と呼ばれるという。今回の地震ではこのほか、地表に断層のずれが現れ、断層の真上の建物が大きく傾くなどの被害も確認されたとしている。
2016年の熊本地震後、県内では益城町役場や熊本市民病院などで免震構造が採用された。吉敷教授によると、今回の地震では、免震構造の建物は大きな揺れに見舞われたものの、業務や医療を継続できたという。八代市庁舎では免震装置の一部が損傷したが、8月に公表された中間報告では、建物は一定の強度を保ち、直ちに崩壊する恐れはないとされた。
国土交通省は被災地の建物被害を分析する有識者委員会を設置し、31日に初会合を開く。吉敷教授も委員を務め、現地調査や地震動のデータを基に、被害要因や今後の対策を検討する。
〔写真説明〕地震で倒壊した家屋=8日、熊本県氷川町