葛藤乗り越え、ともしたネオン=常連客が後押し、「前へ」―熊本県八代市のキャバレー

オフィス需要活発化でREIT注目

 震度6強の爪痕が残る熊本県八代市。傷んだメインアーケードのそばで、ピンクのネオンが再びともされた。地域の歴史や文化を見守る社交場として、65年以上にわたり親しまれてきたキャバレー「ニュー白馬」(同市本町)。池田義信社長(77)は被災者の心情を考え、「こんな時に開けていいものか」との葛藤も抱えながら、常連客らの後押しで「ともに前へ」と決意して営業を再開した。
 地震後、池田さんが店に向かうと、バーカウンターで酒瓶やグラスが割れ、メインホールではバンド用の楽器や音響機器がひっくり返っていた。店の象徴として、大切にしてきたきらびやかなシャンデリアはどうにか無事だったものの、あまりの惨状に「ショックだった。これはどうしたらいいのかと思った」と振り返る。
 10人ほどのスタッフと共に片付けを進め、早期に営業可能な状態まで復旧した。ただ、「暑い中でまだ片付けに追われている人がいる」と再開にはためらいがあった。自身が高齢なこともあり、「これが引き際か」との思いもよぎった。
 背中を押したのは、常連客や全国のファンから届いた応援だった。「再開したら寄ります」「頑張ってください」。電話やメールで寄せられたメッセージは100件近くに上った。「八代が一歩ずつでも前に進んでいることを伝えたい」と心を決め、20日から週3日の時短営業で再開した。
 客足はまだ、まばらだが、「人は支え合って生きている」と再認識したという池田さん。「体が動く限りは続けよう」と決意を新たにした。
 1958年創業の店は、同市出身の歌手、故八代亜紀さんゆかりの店でもあった。29日は八代さんの誕生日。「生きていたらきっと避難所を回ってみんなを励ましていたはずだ」と池田さん。「『よく頑張ったね。再開できたね』と褒めてくれるかな」と思いを寄せた。 
〔写真説明〕営業を再開し、ネオンの看板がともったキャバレー「ニュー白馬」=27日午後、熊本県八代市
〔写真説明〕店内のシャンデリアを見詰めるキャバレー「ニュー白馬」の池田義信社長=27日午後、熊本県八代市
〔写真説明〕店の営業を再開し、心境を語るキャバレー「ニュー白馬」の池田義信社長=27日午後、熊本県八代市