自治体職員らのケア急務=猛暑下で対応、疲労蓄積―専門家「休息も仕事」・熊本地震

人手不足とオフィス空室率の関係

 熊本地震の発生から1カ月となり、猛暑下で対応に当たる自治体や病院の職員の疲労がたまっている。自身の生活再建を後回しにして被災者への対応を続ける人もおり、心身のケアは急務だ。専門家は「水分補給や休息も仕事だと捉える必要がある。不調を抱え込ませないための相談体制も重要だ」と語る。
 支援物資の輸送などに当たる熊本県氷川町の40代の男性職員は、発災から1週間、毎日働いた。その後、週1日は休めているが「自宅を片付ける余裕がない。暑さが本当にしんどい」と漏らす。
 八代市の管理栄養士の50代女性は自宅の井戸が壊れ、生活用水が使えなくなった。日中、炊き出し支援を受けたいと思うが、勤め先の病院からの帰宅は深夜になるため、間に合わない。「働いている人に支援が届いていない」と話した。
 日本赤十字社は、自治体職員が被災者の目を気にせずに横になれる休憩スペースを役所内などに設置する支援策を展開している。担当者によると、疲労のあまりすぐに寝てしまったり、緊張の糸が切れた途端に泣きだしたりする職員もいるという。
 現地で自治体職員らの健康状態を調べる産業医科大(北九州市)の立石清一郎教授は、2024年の能登半島地震と比べ、厳しい暑さの影響で疲労度が高いと分析。「支援する立場の人ほど『苦しい』と言い出せず、精神的に追い込まれることが多い」と指摘する。
 立石氏らの調査チームは疲労度が高いと判断した職員を、精神科医らで構成する災害派遣精神医療チーム(DPAT)につないでいる。立石氏は「疲労が重なると作業の効率が落ち、復旧の遅れにもつながる。休むことも仕事と捉え、小まめに水分補給や休息を取ってほしい」と呼び掛ける。
 被災した自治体職員をケアする取り組みは、徐々に広がっている。
 八代市は職員に対し、自身の被災状況の聞き取りを実施。担当者は「業務量が膨大で休みを取りづらい状況だが、被災した人に配慮したい」と話す。宇城市は外部の保健師に直接相談できるLINEを開設するなどし、きめ細やかにケアする方針だ。 
〔写真説明〕災害ごみの仮置き場で対応する自治体職員=23日、熊本県氷川町
〔写真説明〕災害ごみの仮置き場で対応する自治体職員=23日、熊本県氷川町
〔写真説明〕熊本地震の災害対応に当たる職員の健康維持について取材に応じる産業医科大の立石清一郎教授=20日、熊本県庁