避難生活、障害者ら苦悩=実態把握困難、民間支援も―「特に配慮を」と専門家・熊本地震

”値上げに強い”飲食店に注目

 最大震度7を観測した熊本地震では、障害者や高齢者ら要配慮者が困難を抱えながら避難を続けている。在宅避難の場合は行政が生活実態を把握しづらく、民間団体が支援に乗り出した。被災地で活動する社会福祉の専門家は「在宅避難者には災害ボランティアなどの情報が届きにくく、特に配慮が必要だ」と訴える。
 熊本市南区の指定避難所に身を寄せる聴覚障害者の脇山敬右さん(49)は当初、物資の配給に気付くことができず食事を取れなかったという。今は掲示板にさまざまな情報が張り出されるようになったが、館内放送や口頭での呼び掛けも多く、「手話通訳がおらず不便を感じる」と吐露する。
 こうした要配慮者の把握や避難所環境改善のため、被災地では地震発生翌日から「災害派遣福祉チーム(DWAT)」が支援に当たっている。宇城、氷川、八代3市町で生活状況の聞き取りや福祉避難所への誘導などを実施。熊本県によると、福祉避難所には25日午後2時時点で5市町計58人(家族含む)が避難する。
 熊本県DWATのアドバイザーで熊本学園大の黒木邦弘教授(ソーシャルワーク論)によると、10年前の熊本地震など過去の災害では情報や配慮の不足などから指定避難所に居づらくなり、自宅に戻った人が少なくない。今回、避難所で生活する要配慮者の調査は既に終えたが、在宅避難者や車中泊者については把握しきれていないという。
 老人ホームなどが自主避難所として要配慮者を受け入れるケースもあり、黒木教授は「行政が把握できない部分。障害を持った人たちが避難所にいるうちから生活再建の『出口』を見据えて支援していきたい」と語る。
 一方、在宅避難する障害者を支えるため、県内の福祉団体でつくる熊本障害フォーラムが「被災地障害者センター」を八代市内に開設した。夜間の食事・入浴介助や物資提供、家具処分といったさまざまな支援を想定し、18日から相談を受け付けている。担当者は「被災直後の支援ニーズは健常者も一緒だが、これからは障害者固有の問題が出てくるので利用してほしい」と呼び掛けた。 
〔写真説明〕長男(左)らと指定避難所で生活を続ける聴覚障害者の脇山敬右さん=19日、熊本市南区
〔写真説明〕取材に応じる熊本学園大の黒木邦弘教授=19日、熊本県八代市