被災しても「声を届ける」=八代市の地域ラジオ局―熊本地震

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 熊本地震で大きな被害が出た熊本県八代市では、地域に情報を届けてきたコミュニティーラジオ局も被災した。生放送中の激震でスタッフは避難を余儀なくされたが、翌日には放送を再開。地元の人々が必要とするライフライン情報を届け続けている。
 「安全を確保してください!」。地震の瞬間、八代市役所庁舎内で生放送中だったコミュニティーラジオ局「エフエムやつしろ」では、パーソナリティーの山田由紀子さん(46)が繰り返しマイクに呼び掛けた。「必死で呼び掛けていたつもりだったけれど、声が震えていたことに後になって気付いた」と振り返る。
 激しい揺れで局内の棚は倒れ、ガラスが飛び散っていたという。庁舎の免震装置が損壊し、庁舎内に放送ブースがある同局も一時的に立ち入り禁止となった。山田さんらも屋外へ避難を余儀なくされ、「防災情報を発信するのがラジオの使命なのに、放送できないなんて」ともどかしさを感じたという。
 放送中は震度7の揺れが襲った同県氷川町で暮らす両親のことが気がかりだったが、避難直前まで生放送を続けた山田さん。両親とはその後電話がつながり無事を確認できた。地震翌日から再びマイクの前に戻り、「被災者の心に寄り添う放送」を心掛けてリスナーに語り掛けている。
 同局は地震直後から通常の番組編成を取りやめ、防災情報に特化した発信を続けた。同局総務部の宮田明美さん(60)は「市の担当課に直接確認して裏の取れた公式情報しか放送に乗せない」と強調する。
 地震から2週間がたってからはエコノミークラス症候群への注意喚起や効果的な熱中症対策を紹介するなど、被災者にとって有益な発信を心がけている。音楽もクラシック曲や八代市出身の歌手八代亜紀さんの楽曲などを選んでいるといい、宮田さんは「少しでも気分転換になれば」と話す。
 現在は約5人のスタッフで、毎朝8時から夕方6時まで生放送を続ける。宮田さんは「次に地震が来たらと考えると怖い。それでも、八代の方々のために情報発信を続けたい」と力を込めた。 
〔写真説明〕ライフライン情報を届け続けるコミュニティーラジオ局「エフエムやつしろ」=8日、熊本県八代市
〔写真説明〕ライフライン情報を届け続けるコミュニティーラジオ局「エフエムやつしろ」=8日、熊本県八代市