ティザーが公開された次期スカイライン。現行モデルは登場から10年を超え、古さは否めません。試乗して見えてきた現行型の価値と、次期型に期待される進化とは何でしょうか。
正直「古さは隠せない」 今スカイラインに乗る
来年2027年にも世代交代が予告されている日産「スカイライン」。2026年4月にはティザー画像も公開され、新型への期待がファンのあいだで高まっています。一方、現行のV37型は2014(平成26)年2月の発売以来、販売期間が歴代最長の約12年におよんでいます。
今回は、現行の国産車のなかでも屈指の長寿モデルとなったV37スカイラインに改めて試乗しながら、次期型にどんな進化を望むべきか考えました。
これまで現行スカイラインには、排気量3.5Lの自然吸気エンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッド仕様のほか、メルセデス・ベンツ製の2.0Lターボエンジンを搭載したモデルなど、さまざまなパワートレインが採用されてきました。しかし、現在は3.0LのV型6気筒ツインターボ「VR30DDTT型」エンジンのみがラインナップされています。
今回試乗したのは、トップグレードの「400R」。2019(令和元)年7月に登場したこのグレードは、それまで「古臭く、とりあえず売られているだけ」というイメージが強かった現行スカイラインに、再びスポーティなイメージを与えたモデルとして知られています。エンジン自体は一般的なグレードといえるGT系と同形式ですが、各種制御やタービンの仕様変更によって、最高出力は405psまで高められています。
また、2025年末の一部改良では「ワンガンブルー」という新たなボディカラーが設定されたほか、運転支援システムの機能充実化や、最新の法規制に対応するアップグレードも実施されています。
実車を改めて見てみると、正直なところ各部に「古さ」は感じます。現行スカイラインを眺めているうちに、同クラスの最新のセダンは細部にエッジが効いたデザインなのだなと気づかされました。灯火類についても、LEDの使い方などはひと昔前のセンスのままです。
こうした見た目の古さを感じるのは、インテリアでも同じです。物理ボタンが多いのは、昨今のタッチパネル偏重のトレンドに対し、かえって好印象だと思う人もいるかもしれません。しかし、小さなセンターモニターや各部のデザイン処理、そして足踏み式のサイドブレーキなどは、やはり一世代前の設計なのだと痛感させられます。
「古いけどイイ」? 「古いから仕方ない」?
ただ実際に走り出してみると、少なくとも街中や高速道路を普通のペースで走る分には「古臭くて良くない」といったネガティブな印象はありませんでした。
現行スカイラインは、V6ターボ搭載のFR(フロントエンジン・リアドライブ)セダンというパッケージングのクルマとして、十分な静粛性や乗り心地を確保しています。現代の水準で見ても、満足のいくコンフォート性能を持っているといえるでしょう。現代のモデルとしてはベーシックな内容の運転支援システムも備わっているため、特に高速道路での巡航走行はとても快適です。
また、V6ツインターボのエンジンは現行車とは思えないほど燃費が悪いものの、加速フィールにはターボエンジンらしい“最後のひと伸び”があり、それだけでも「今あえて現行400Rを買う価値はあるな」と思わせてくれます。
次期スカイラインにはV6ターボ仕様が用意されるという噂もありますが、今後も「スカイライン」というクルマを走りのイメージで売っていくのであれば、400Rのようにイメージリーダーとしてブランドを牽引するグレードは必須だと言えます。
ただ、ワインディングロードでの加減速やコーナリング性のチェックに入ると、クルマへの印象は「古くても悪くない」から「古いから仕方ないなぁ」といったものに変わりました。
まずトランスミッションの制御は、パドルシフトで操作してもややタイムラグが大きい印象でした。現行の「フェアレディZ」に搭載されている9速ATの出来が良いだけに、「あのトランスミッションが現行スカイラインにも搭載されていたらな」と思ってしまいました。
また、サスペンションまわりを中心とした各部の剛性感も今一歩。現行スカイラインのレベルが低いわけでは決してありませんが、同クラスのセダンの出来を思うと、この辺りは次期型で進化してほしいところです。
そして、最も古さを感じたのはステアリングの操舵フィールです。現行スカイラインにはデビュー当初から、ハンドルとタイヤを機械的に常時直結せず電気信号のみで操舵する「ステアバイワイヤ」機構を採用しています。発売当時はまだ珍しい先進的なシステムでした。
しかし今改めて評価すると、ハンドルから伝わるインフォメーションが希薄であり、走りのセダンとしては正直「これで良いのかな」と思ってしまいました。次期スカイラインには、ドライバーがフロントタイヤと“対話”できるようなハンドリングを望みたいです。
まとめると、現行スカイラインはクルージング走行での快適性、V6ツインターボエンジンの気持ちよさなどで未だに十分な魅力を持っている一方、サスペンションやステアリング機構といった足回り関連、トランスミッションなどの仕上がりにおいて、やはり基本設計の古さが隠せない印象です。
しかしこうしたウィークポイントは、2001(平成13)年登場のV35型から採用されている「FR-Lプラットフォーム」に起因する部分が大きいでしょう。この車体プラットフォームは、ここ数世代のフェアレディZなどにも採用されてきた名作ではありますが、初採用から約25年が経過しているだけに、現行車の構造設計としてみれば、どうしても厳しい評価になってしまいます。
新型スカイラインのプラットフォームは、現行のものをベースに進化させたものになると言われています。どれほどの進化を遂げるかが気になるところですが、子の進化したプラットフォームは、スカイライン以外の日産のFRモデルや、走りの性能を重視するモデルにも拡大採用されていくことでしょう。今回の試乗は、次期スカイラインの進化だけでなく、将来の「走りの日産車」がどんなクルマになっていくか、期待を膨らませる機会となりました。