横のトラックから「プシューッ!!」ビビるほど大きな音なぜ? 大型乗りはここまでブレーキを“使い分けて”いた!

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トラックやバスの「プシューッ!」というブレーキ音。これは大型車特有の「エアブレーキ」によるものですが、ときには別の音も聞こえてきます。大型車乗りにとって、様々なブレーキを使い分けることは命を守ることに直結するのです。

乗用車の「油圧式」よりも強い制動力を発揮する「エアブレーキ」

 トラックやバスなどの大型車両の近くを走ると、「プシューッ!」「チッチッチ」といった特殊なブレーキ音を聞くことがあります。交差点や駐車場でトラックが横に並んだ際には、ビックリするほど大きな音が鳴る場合もあります。

 これは大型車両特有の「エアブレーキ」の音なのですが、このブレーキの名を聞いたことはあっても、肝心の機能についてはよく知らない、という人が結構多いように思います。この「エアブレーキ」に関して、元大型トラックドライバーの交通心理士で、近畿大学・理工学部の島崎 敢教授に解説してもらいました。

「乗用車や小さいトラックのブレーキは、油圧式のものが使われています。最近は、倍力装置など、『足の力をアシストする』機能もありますが、基本は足の力でブレーキをかけるという仕組みです。

 これに対して、大型のトラックやバスに採用されている『エアブレーキ』は、まずコンプレッサーで『圧縮空気』を作っておき、その空気の力でブレーキをかけるという仕組みです。ドライバーが操作するペダルは、空気のバルブを操作しているだけの役目です。そのため、軽く踏んでも非常に強力な制動力を得ることができます。

 大型車両の多くに『エアブレーキ』が装備されている理由は、この強い制動力にあります。運動エネルギーは重さに比例するので、乗用車の10倍以上の重さがあるトラックを安全に止めるには強力なブレーキが必要です。ドライバーにとっても扱いやすい『エアブレーキ』はそこに合致する装備ということです」(島崎教授)

ブレーキを解除すれば「プシューッ」 小刻みにやれば「チッチッチッ」

「エアブレーキ」の構造と機能性はわかりました。一方、肝心の「プシュー」「チッチッチッ」という音はどうして出てしまうのでしょうか。

「ブレーキをかけるのに使われた圧縮空気は、ブレーキを解除すると外に排出されます。これが『プシュー音』の正体です。ブレーキを踏んで解除すれば、自然と『プシューッ』音が出ます。これを軽く小刻みにやると『チッチッチッ』という音になります。

 大型ドライバーの中には、クラクションよりも小さい音の『エアブレーキ』を転用し、周囲のクルマなどに対して、威圧用途に使う人もいるようですね。しかし、ドライバーの意志とは別に、トラック自体の機能として、溜まりすぎた空気を定期的に排出することもあります」(島崎教授)

「エアブレーキ」と併用される他のブレーキ機能も

 島崎先生によれば、実は「エアブレーキ」以外にも大型のトラックやバスに特有のブレーキ機能を持つ車両もあるとのこと。「排気ブレーキ」「リターダー」「トレーラーブレーキ」などがあるといいます。

『排気ブレーキ』は、排気ガスを遮断してエンジンの抵抗を強くしてエンジンブレーキの効きを強くする機構です。『エアブレーキ』は確かに強力な制動力を実現するのですが、その分発熱もすごい量になります。そのため下り坂で頻繁に踏むと、加熱による『フェード現象』でブレーキが効かなくなります。これを防ぐために、強めのエンジンブレーキである『排気ブレーキ』を多用しながら坂を下る、というのは大型車特有の乗り方です。

『リターダー』も似たような機構ですが、『排気ブレーキ』よりもよく効きます。私はリターダー付きの車両に乗ったことがないのですが、エンジンの強力な排熱システムを使う『排気ブレーキ』と違って『リターダー』は熱ダレを起こすことがあるようです。

『トレーラーブレーキ』もトレーラー特有の機能です。トレーラーは長いシャシーの上に接続部があるため、トレーラー側のブレーキが効くのがわずかに遅く、『エアブレーキ』だけを使うと『押される感覚』があります。

 そこで『トレーラーブレーキ』を先に軽くかけておくと、バランスの取れた制動を保てる、という感じです。どうしてもカーブの途中でブレーキを掛けなければいけないときなどの際に、車体が曲がる“ジャックナイフ現象”を防ぐため、この『トレーラーブレーキ』を使ったりします」(島崎教授)

大型車のブレーキの気持ちを切なく歌ったバラードとは!?

 ここまでの通り、乗用車の10倍以上も重い大型のトラックやバスには、ふさわしい制動力を持つ各種ブレーキが装備されています。ドライバーはそれぞれの機能をうまく使い分けながら、カーブ、下り坂などでふさわしい制動をしているようです。

「トラックやバスなどの大型車両にとって、最もリスクが高いのは『下り坂』です。各ブレーキも熱を持つと、効かなくなることもあるので、ドライバーはうまく使いこなさなければいけません。

 私が運営しているポッドキャスト『プロフェッショナルドライブ』では、こういった大型車の『ブレーキ』に関するバラード曲も配信しています。座学で勉強するよりも、よくわかると思いますのでぜひ聴いていただきたいです」(島崎教授)

 気になるその曲の名は「フットブレーキの真実」。大型車両におけるブレーキの健気で真っ直ぐの思いを表現した切ない曲です。YouTubeでも聴くことができますので、島崎教授のポッドキャストと合わせてチェックしてみてください。