コレ無いと「仕事にならない」場合も トラックの「テールゲートリフター」にはドライバーの苦労が詰まっていた!

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トラックの荷台のゲートがリフトを兼ねている場合があります。実はこれ、現場に革命をもたらした装置です。

「極めて甚大な労力と時間」を軽減させる装置!

 トラックの荷台に「すいちょくゲート」といったステッカーが貼られていることがあります。これは、荷台の積み下ろし用の昇降装置のこと。荷積み・荷降ろしなどをやったことがない門外漢にとって、リアルにはその機能性の素晴らしさがわからないものですが、わざわざステッカーで表現している、ということはかなりの優れものなのだろうと想像します。

 そもそもトラックの荷台のテールゲートリフターにはどんな種類があり、それぞれどんな特性があるのでしょうか。元大型トラックドライバーの交通心理士で、近畿大学・理工学部の島崎 敢教授に解説してもらいました。

「前提として、設備が整っている配送センターや物流拠点(プラットフォームがある場所)では、バン型トラックであれば、トラックの後部の扉を開けてプラットフォームにお尻をつけて積み下ろしを行います。プラットフォームの高さが、トラックの荷台と同じなので、基本的にはテールゲートリフターのような特殊な機器を使って荷室と外部を『繋ぐ』必要はありません。

 テールゲートが真価を発揮するのは、『荷降ろし用のプラットフォームやフォークリフトがない場所』で積み下ろしを行うケースです。店舗、オフィス、一般の引越先などがそれにあたります。

 トラックの荷台は、一般の人が思う以上に高い位置にあります。荷積み・荷降ろしに際しての設備がない場所で、ロールボックスパレット(カゴ台車)などの重い荷物を運ぶ場合、リフターがなければ、地上へ降ろすこと自体が物理的に不可能となります。

 もしリフターがなければ、荷物を1個ずつ手作業で積み下ろす『バラ積み・バラ降ろし』という作業を行うしかなく、極めて甚大な労力と時間がかかります。こういった場合に、トラックの荷台と地上との段差をなくして運ぶためにあるのがテールゲートリフターです」(島崎教授)

 何かと便利な機能なのだから、どんなトラックにもテールゲートリフターをつけておけばいいのに……素人目には考えてしまいます。ですが、島崎教授によれば「デメリットももちろんある」とのこと。

「テールゲートリフター自体に数百kgの重量があるため、車両の最大積載量がその分減ってしまうという明確なデメリットがあります(最大積載量は『車両総重量』から車両重量等を引いて計算される)。

 そのため、拠点間を往復する大型の路線便などでは余計な重量増を避けるために装着せず、コンビニ配送・ドラッグストア配送・引越便など、現場設備に頼れない中・小型トラックに多く採用される、というのが実情です」(島崎教授)

大きく4種類のテールゲートリフター 何が違う?

 そのテールゲートリフターですが、冒頭で触れた「すいちょくゲート」も含めて、大きく4種類のタイプがある、と島崎教授は言います。

「まず、跳ね上げ式。アーム式とも呼ばれるタイプで、荷台後部にゲートを垂直に跳ね上げて収納するタイプのもの。構造がシンプルで比較的安価なテールゲートリフターですが、開閉する際には後部に一定のスペースが必要になります。

 次に、垂直式。レールに沿って昇降板が垂直に動くタイプ。揺れが少なく安定しており、食品や精密機器などの輸送に向いています。

 他には後部格納式というものもあります。荷台の下部に折りたたんで格納するタイプ。リアドアの開閉を妨げないため、プラットフォームにおける定置などの作業と、現場で昇降・荷役(リフター)の作業を同時に両立しやすい特徴があります。

 最後に、床下格納式。荷台の床下にテールゲートリフターが完全に収納されるタイプで、外観がスッキリし、後方の空間を圧迫しません。また、前述のプラットフォームがある物流拠点でも使うことができますが、ただし、機構が複雑で重量が増しやすいデメリットもあります」(島崎教授)

使用者への「特別教育」受講が義務化されている

 大きく分けて4つのテールゲートリフターのいずれも、スイッチ一つで自動で昇降できるものもあり、荷積み・荷降ろしの際の最高のお助けアイテムと言えます。一方で、細心の注意を払って使う必要もあります。

 手動タイプのテールゲートリフターは本体や板の重さから手や指を挟んでしまう危険があります。また、荷台の高さで作業をする場面が多くなるため、踏み外して地上に落ちる事故も起きやすいとのことです。

 こういった事情から2024年からは、テールゲートリフターを使用して作業を行う人に対して「特別教育」受講の義務化が始まりました。

 テールゲートリフターの知識を学ぶため。主に学科4時間・実技2時間で構成されており、装置の構造、安全な作業手順、関係法令を学ぶもの。社外の外部機関で受講した場合、プラスチックカードなどの「特別教育修了証」が交付され、これは社外でも通用する「受講歴」の証明になると言います。

 一方、運送会社などの社内で実施されるケースもあり、これは社内独自の「修了証」を発行し、受講者に渡されます。ただし、多くは公的な受講歴を証明するものではなく、社外で通用するかどうか、各所の判断になるとも。

 この受講で特に注意を促されるのは、まず「テールゲートリフターの昇降板(プレート)への同乗制限」。また、「昇降板(プレート)の上に人が乗ったままの昇降操作や乗り降りは危険である」ということ。

 そして、「傾斜(ティルト)時の転倒・下敷き事故について」。

 昇降板(プレート)は地面への着地時に荷物を降ろしやすくするため、斜めになっている構造のものがあり、この際、重いロールボックスパレットが倒れ、人が下敷きになる重大事故が発生しています。そのため「傾く側の下には絶対に入らない」「倒れてくる荷物を手で無理に支えようとしない」といったことが徹底して教えられると言います。

ドライバーの荷降ろしの苦労がここに詰まっている

 門外漢にはその大変さ、危険さがリアルにはわからないトラックの積荷・荷降ろしと、それに伴うテールゲートリフターの役割。同時に、これらを行う・扱うドライバーさんたちの苦労も少しはわかった気持ちになりました。そんなことを島崎教授に伝えると、最後にこんな言葉をくれました。

「普段私たちが目にする日用品、食品、資材などは、過酷な環境の中でドライバーが汗を流して運んでいます。空調もない夏場の暑い荷室やプラットフォームで、何トンもの荷物を手作業やリフターを使って積み下ろしする作業は想像以上の重労働です。

 テールゲートリフターのような装置は、ドライバーの負担を軽減するために不可欠ですが、もちろん各タイプにメリット・デメリットもあります。

 こういった構造を知ると同時に、『ドライバーたちの身を削るような作業によって社会のライフラインが保たれている』という事実をも広く認識し、物流を支えるドライバーへの敬意を持つことが大切だと思います」(島崎教授)