『GTO』鬼塚英吉じゃないほうのバイク! 原作の「やりすぎ!」伝説とは 希代の族車はこうして生まれた!

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『GTO』に登場する鬼塚英吉の相棒、弾間龍二の愛車といえばホンダ・CBX400F。原作の「やりすぎ!」とも思える描写でファンを熱狂させたバイクを振り返ります。

原作の影響で広まったCBX400Fの「プロアーム仕様」

 2026年版が放映中のテレビドラマ『GTO』。バイク好きにとってはたびたび映るバイクシーンも見どころです。主人公の中学校教師・鬼塚英吉は若い頃から750RS(Z II)をはじめ、カワサキ車ばかりを操ることで知られています。

 これに対し、『GTO』作中に登場する英吉の相棒、弾間龍二はかつて英吉と一緒に湘南を舞台にバイクで走りまくった人物ですが、英吉とは対照的にホンダ車を好み、彼がこよなく愛したのが名車・CBX400Fでした。

『GTO』の原作は藤沢とおるによる大ヒットコミックで、過去複数回ドラマ化やアニメ化されました。この『GTO』には前日譚があり、それが1990年から1996年まで週刊少年マガジンで連載されたコミック作品『湘南純愛組!』でした。英吉の不良時代を描いた物語で、ここで英吉とともに伝説のヤンキーとして知られたのが弾間龍二です。

『湘南純愛組!』ではCBX400Fにまつわる「やりすぎ」とも思えるシーンが度々描かれました。

 たとえば、崖からCBX400Fごと落ちながらも大破したバイクを片手で持ち上げ修理するといった力技や、CBX400FのリアのスイングアームをVFR400Rから換装し、プロアーム(片持ちアーム)仕様にするシーンなど。こういった要素は、当時の若いバイクファン、不良たちの心を鷲掴みにしていきました。結果的に、CBX400Fの「プロアーム仕様」は現実でもカスタムの定番として広まり、今なお人気を博しています。

実は背水の陣で発売されたCBX400F

 そのCBX400Fは、1970年代後半から80年代前半にかけての「4気筒・400cc」のヒット作、カワサキ・Z400FX(1979年)、ヤマハ・XJ400(1980年)の対抗馬として1981年に発売されたモデルでした。

 実はさらに遡ること1974年、ホンダはドリームCB400FOURという「4気筒・400cc」の革命的マシンを発売しました。ですが発売翌年に実施された運転免許制度改正などに翻弄され、思うようなヒットに至らず、わずか3年で生産終了に。以降のホンダはしばらく「2気筒・200cc」に注力する事になります。

 この間に前出のZ400FX、XJ400といった「4気筒・400cc」のヒットマシンが登場します。「4気筒・400cc」の先駆・ホンダとしては面目丸潰れの格好となりました。ここで再び「他社を出し抜くマシンを」として開発されたのがCBX400Fでした。

「生産終了するんじゃねえ!」ヤンキー熱狂マシン

 CBX400Fは当時最高の48馬力を実現し、逆回転クランク、インボードディスクブレーキ、プロリンクサスなど革新的な技術を備えたモデルです。その安定性・信頼性から教習車などにも採用されました。

 一方、発売時期は暴走族ブームが頂点に達していた時代でもあり、多くの不良たちが前出の2モデルと合わせてCBX400Fも好んでまたがるようになりました。そのため、ホンダの思惑とは違うところで人気が過熱する事に。この影響力の高さこそが、後の『湘南純愛組!』で描かれた大きな理由と言って良いでしょう。

 過去に憂き目にあった経験からか、ホンダはここで「さらなる4気筒・400ccを」と、2年後の1983年に、スポーツ仕様を高めたCBR400Fを発売します。このマシンと入れ替わる格好で、CBX400Fは早くも生産終了となります。

 ところが、ユーザーから「なんでこんなに早く生産終了にするんだ」「もう一度作ってほしい」という声が殺到する事態が発生します。その影響を受けてか、1984年にはCBX400Fが「II型」として再生産されるという異例の措置が取られました。

 当時は、ホンダ・ヤマハ間でバイクの熾烈なシェア争いが巻き起こった、いわゆる「HY戦争」と呼ばれる時期の絶頂期にあたります。もしかしたら、こういった混乱もCBX400Fの寿命を縮めた理由の一つかもしれません。

 結果的に、1984年の再生産モデルがCBX400Fの最終形となります。ですが「CBX」の名は、直接関連を持たない他の排気量モデルにも複数採用され、当時のホンダの代名詞的なモデル名にもなりました。

 また、CBX400Fの代表的な「赤・黒・白」のカラーリングは多くのバイクユーザーの記憶に強く焼き付いていることからか、2002年モデルのCB400 SUPER FOURにも採用されました。

 CBX400Fにまつわる様々なストーリーもまた、『GTO』や『湘南恋愛組!』と合わせて振り返るとなかなかに興味深いものです。テレビドラマ『GTO』では英吉の750RS(Z II)が注目の的となっていますが、龍二同様のホンダファンの筆者は「CBX400Fも出して欲しいんだけどなぁ……」と密かに思っています。