【ワシントン時事】7日公表された7月の米雇用統計によると、景気を占う手掛かりとなる非農業部門就業者数が予想外の減少に転じた。堅調だった雇用に急ブレーキがかかった形。これを受けて市場では連邦準備制度理事会(FRB)が9月に利上げに転換するとの観測が後退した。
ただ、米イラン紛争を背景にインフレ高進への懸念はくすぶる。FRBが二大責務として掲げる物価安定と雇用最大化のどちらを優先させるか困難な選択を迫られそうだ。
7月の就業者数は前月比2万3000人減と、2月以来5カ月ぶりにマイナスに転じた。夏場は雇用が弱含む傾向にある上、イラン紛争に伴うガソリン高のあおりを受けたとされるレジャー分野が4万人減と全体を下押し。失業率は4.1%と前月から0.1ポイント改善したが、トランプ政権の移民抑制策に伴う労働人口の減少が影響したとみられ、「いいニュースではない」(金融大手)との懸念が広がる。
さらに5、6月の就業者数が大幅に下方修正されたことを受け、直近3カ月の平均増加ペースは2万人と、前回発表の11万人から急減速した。ウォーシュFRB議長は「労働市場は底堅い」と強調してきたが、物価高のみならず雇用にも配慮した金融政策運営を余儀なくされる可能性がある。
金融引き締めに前向きな「タカ派」のFRB高官が問題視するのは、FRBが目指すインフレ率2%目標が5年以上未達であることだ。インフレ退治が後手に回ることを避けるため、地区連邦準備銀行の総裁3人が7月の金融政策会合で、0.25%利上げを主張し、据え置きに反対した。
英紙フィナンシャル・タイムズは、今後数週間以内に発表される統計でインフレの加速が確認された場合、ウォーシュ氏が9月会合で利上げの用意があると報じた。ただ、物価上昇と雇用減速が同時に進めば、FRB内の金融政策を巡る見解の相違が一段と強まり、合意形成は困難を極めそうだ。
〔写真説明〕米連邦準備制度理事会(FRB)のウォーシュ議長=7月29日、ワシントン(AFP時事)