災害派遣の要! 大型輸送ヘリ「チヌーク」の実力とは? 熊本地震での活躍と、気になる「オスプレイ」との使い分け

スマートレジ普及に2つの追い風

地震などにより陸路が寸断された被災地へ、大量の支援物資を届ける自衛隊の大型輸送ヘリコプター「CH-47」。V-22「オスプレイ」との明確な役割の違いや運用実績など、災害現場の空を支える頼もしい実力を解説します。

ふたつのローター備える大型輸送ヘリ

 2026年7月28日に熊本県熊本地方を襲った最大震度7の地震によって、熊本県を中心に多くの場所で家屋が倒壊し、道路が破壊され、水道・ガス・電気などのライフラインに障害が発生しました。その影響によって物流が滞り、商店には限られた品物しか陳列されていないといわれています。

 同様の事態は、今回の「令和8年熊本地震」だけではなく、10年前の「平成28年熊本地震」、さらには東日本大震災(2011年)や能登半島地震(2024年)でも発生しました。こうしたときに頼りになるのが航空機による空中輸送力です。

 遠隔地から届く支援物資の多くは航空自衛隊の輸送機によって空輸されますが、固定翼機の離着陸には長い滑走路が必要で、拠点となる空港や飛行場(航空基地)は限定されます。そこで登場するのが、回転翼機であるヘリコプターです。

 ヘリコプターであれば、垂直離着陸ができるため、長い滑走路を必要としません。空港などの拠点に集められた支援物資を、被災地の避難所近くまで直接空輸できるため、陸路での移動経路は最低限の距離で済みます。とりわけ、陸上自衛隊と航空自衛隊に配備されている大型輸送ヘリコプターのCH-47「チヌーク」は、こうした空輸任務を担うため、大規模災害時は被災地で頻繁に見かけるようになります。

 CH-47は陸上自衛隊と航空自衛隊合わせて、日本全体で70機弱を保有していますが、真っ先に導入したのは後者、航空自衛隊でした。へき地にあるレーダーサイトなどへの物資空輸を主任務に、1984(昭和59)年から導入が開始されています。

 なお、導入当初は「CH-47J」という名称でしたが、後に改良が加えられ「CH-47J(LR:ロングレンジの略)」と改称しています。配備する全てのCH-47Jが「LR」型になってからは再び「CH-47J」の名称で呼ばれています。

災害派遣は阪神淡路大震災が皮切り

 航空自衛隊の導入から2年ほど遅れた1986(昭和61)年には、陸上自衛隊もCH-47Jを導入しています。

 陸上自衛隊に配備されたCH-47Jの最初の大規模災害派遣は、1995(平成7)年1月17日に発生した阪神淡路大震災だといわれています。

 その後、2004(平成16)年の新潟県中越地震、2007(平成19)年の中越沖地震でも航空偵察や人員輸送、物資輸送などに使用されています。近年では、保有機のほとんどが航続距離を伸ばすため燃料タンクを大きくし、気象レーダーなどを搭載した改良型のCH-47JAになっており、より安全に長距離を飛行できるようになっています。

 またCH-47の活躍は国内だけに留まりません。海外での災害においても派遣された実績を持っています。2005(平成17)年にインドネシアで発生した地震と津波による災害時には、バンダ・アチェ地域への医療・防疫活動のために派遣され、2010(平成22)年にパキスタンで発生した洪水水害では、同国のおおむね中央に位置するムルタン市へ物資輸送で投入されています。

 最近では、2022年1月24日(月)、火山噴火と津波により被害を受けた南太平洋の島国トンガを支援するため、輸送艦「おおすみ」に搭載、太平洋を横断して派遣されています。

 ただ、海外に派遣される際には、CH-47は自力で飛行していくことはしません。なぜならば、航続距離が最新式のCH-47JA型で約1000kmとなっているため、被災地が遠い場合は何度も離着陸を繰り返し、給油と整備を行わなければならないからです。また、飛行時間ごとに決められた整備も行わなければならないので、自力で遠方まで飛行していくのは燃料と労力を浪費してしまうことになります。そのため、海外に派遣される際は、海上自衛隊の輸送艦などに搭載されて出国することになります。

 洋上を航行するときには、大きな2枚のローターは外され、塩害からの被害を抑えるためにつなぎ目にはマスキングが施され、機体全体が白い生地で覆われます。こうして遠洋航海した後に、現地にて封印が解かれ、再び空へと舞い上がるのです。

「チヌーク」と「オスプレイ」その使い分けは?

 各地で活躍するCH-47の後継機は、しばらく登場することはないと言われています。それは基本設計が良く、拡張性に優れた機体デザインであることからもうかがい知れます。実際、最新モデルはCH-47Fという名称でアメリカ軍を中心に配備が進んでいて、陸上自衛隊では既存のJ型をF型相当へと改修しているといいます。すなわち、今後しばらくはCH-47が日本の空を飛ぶ姿を見続けることができるということになります。

 その一方で、陸上自衛隊は2019年から垂直離着陸できるティルトローター機のV-22「オスプレイ」を導入しました。つまり陸上自衛隊はV-22とCH-47という、大型輸送機を2種類保有することになります。防衛省・陸上自衛隊では両者をどのように使い分けるのでしょうか。

 じつは両者とも「大型輸送機」とひとくくりにしましたが、2機には明確な違いがあります。それが搭載力と飛行速度です。

 搭載力に優れているのはCH-47です。機内に軽装甲機動車などを搭載して飛行することも可能で、さらにはV-22よりも重いものを吊り下げることが可能です。

 ひるがえって飛行速度に関しては、固定翼機と同じくらいの速度が出せるV-22に軍配が上がります。同じ場所から同時にスタートした場合はV-22の方が先に到着するので、V-22が人命救助用の人員と物資を真っ先に被災地に投入して、後からCH-47が各種の支援物資を大量に空輸してくるというパターンもあるかと考えられます。

 大量の物資を一度に空輸でき、人員や車両も空輸することができるCH-47は、陸上自衛隊の「頼れる翼」として、令和8年熊本地震でも被災地救援のために昼夜をたがわず飛び続けています。