関東東端6.4kmの新観光列車に乗る! クラファンで車内改造 これが「不屈ローカル私鉄」の生きる道?

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千葉県銚子市の銚子~外川間6.4kmを走る銚子電気鉄道は、鉄道会社でありながら売上の8割が鉄道事業以外であり、ぬれ煎餅や「まずい棒」などの食料品販売でも注目される会社です。

経営難を逆手に取った企画を連発

 銚子電気鉄道(銚電)は、千葉県銚子市の銚子~外川間を走る全長6.4kmのローカル私鉄です。

 1913(大正2)年、銚子遊覧鉄道の銚子~犬吠間の開業から始まりました。しかし、1917(大正6)年に早くも廃止されてしまいます。赤字経営だったことに加え第一次世界大戦で鉄材が高騰しレールを売却したためです。廃線跡は地元旅館の送迎バス用道路に変わりました。

 5年後の1923(大正12)年、銚子鉄道が設立され、廃線跡に鉄道を復活させます。この時に外川まで線路を延ばして全通。1925(大正14)年には電化されました。しかし戦後の1948(昭和23)年、企業再建整備法で銚子鉄道は解散し、銚子電気鉄道へと生まれ変わりました。

 1955(昭和30)年に国鉄直通快速「房総の休日」の乗り入れが開始、1985(昭和60)年にトロッコ車両「澪つくし」導入、1990(平成2)年に観光路線への転換を目指して一部の駅が洋風に改築されています。

 転機となったのが2006(平成18)年です。資金不足になった銚電は「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。」とウェブサイトに異例の告知を掲載。これと前後して同社の名物商品「銚電のぬれ煎餅」も注目を集め、ギリギリのところで危機を脱しました。

 ここから経営難を逆手に取るような経営を開始。「経営がまずい」ことから名付けたスナック菓子「まずい棒」を発売しました。ほかにも「鯖威張(さばいば)る弁当」、企画列車「鯛パニック号」、和歌山電鐵との「あきらめたらおしまい(姉妹)鉄道提携」など、ユニークな施策が話題となっています。

 2024年には南海2200系電車を導入し「シニアモーターカー」と命名。2025年にクラウドファンディングで得た資金で、22000形の観光列車「次郎右衛門(じろうえもん)」に改造しています。この「次郎右衛門」は、普段は運賃のみで乗車できます。

駅に美術館や企業ミュージアム

 2026年6月の水曜に銚電を訪れました。起点の銚子駅はJRとの共用駅で、銚電ホームには洋風のかわいい駅舎があります。IC乗車券は使えませんが、一日乗車券はスマートフォンで購入でき、画面を車掌に見せれば乗車できます。

 列車を待っていると、たまたま「次郎右衛門」がやって来ました。車内はかなり綺麗で、窓もピカピカです。車端部にボックス席、運転台の後ろに展望座席があります。ボックス席には観光客と思われる女性グループが陣取っていて、楽しそうな雰囲気です。その向かいにはカウンターのようなものが設置されています。

 車両間通路の上部にはモニターが設置され、駅名が表示されています。観光客に優しい鉄道となっており、好感を持ちました。

 列車は筆者を含めて10人が乗車し、11時15分に出発しました。すぐに銚電本社やヤマサ醤油工場がある仲ノ町に到着。車庫に留置された小型電気機関車デキ3がマスコットです。乗降はなく出発。次の観音では2人が下車して12人が乗車しました。車内はにぎやかになります。

 運転席の後ろの展望席から線路の周囲を見ると、意外と起伏があり、森の中で見通しが悪い区間もそれなりにあることが分かります。見通しが悪い場所では警笛を鳴らして走ります。

 次の本銚子でも1人が乗車。全駅がネーミングライツによって副駅名が付いており、次の笠上黒生は「ナウル共和国」となっています。ここで4人が下車しました。

 西海鹿島で1人乗車。海鹿島では乗降がありませんでした。駅舎の一画は「日本一ちっちゃな美術館」になっています。君ヶ浜では乗降なし。

 犬吠は銚電最大の駅で、駅舎2階に「岩下の新生姜ミュージアム 銚子電鉄犬吠駅分室」があります。15人が下車し、なんと1人が乗って来ました。車掌がすかさず検札に行きます。終点の外川まで乗り通したのは5人でした。

 外川には旧型車両のデハ801形電車が保存されています。老朽化が進行しており、立ち入りはできません。

 折り返し外川11時44分発の電車に乗ります。今度はボックス席です。銚電には何度か乗車したことがありますが、ボックス席だと風景の印象が変わってきます。

 この列車は外川で1人、犬吠で1人、海鹿島で2人、西海鹿島で1人、本銚子で1人、観音で5人が乗車し12人が終点の銚子で下車しました。

 10年ぶりくらいに訪れた銚電は、観光客が楽しそうに笑っている様子が印象的な楽しい路線でした。駆け足ではなく、ゆっくり回りたい路線だと感じました。