【ソウル時事】韓国国会は31日、10月に廃止される検察庁の後継組織「公訴庁」から一切の捜査権を奪う刑事訴訟法改正案を革新系与党「共に民主党」などの賛成多数で可決した。政治的捜査が問題視されてきた検察の権限抑制は革新陣営の悲願だが、捜査力低下への懸念が強まっている。
革新系の盧武鉉元大統領が検察の捜査を受けて自殺したことなどから、革新陣営はかねて検察を敵視してきた。李在明政権発足から間もない昨年9月、政府組織法を改正し、検察庁を廃止し、起訴だけを担う公訴庁と、警察と同じく行政安全省が所管する「重大犯罪捜査庁」に分離することを決定。その後与党は、公訴庁から補充捜査を含め捜査権を完全に奪う刑訴法改正を目指した。
しかし、今年5月に南西部・光州で起きた女子高校生殺害事件で、被告の父である警察官が捜査チームの協力を得て証拠隠滅を図った疑惑が、検察の補充捜査を通じて発覚。警察のずさんな捜査や隠蔽(いんぺい)体質が問題視され、女性団体や法曹界から「警察の捜査をけん制するシステムが不可欠」として、公訴庁の補充捜査を認めるべきだとの声が高まった。
検察庁トップも7月29日、「真実が隠され、刑事司法システムが崩壊する」と懸念を表明。李氏の長年の側近である鄭成湖法相も補充捜査権維持を主張し、与党への不満から辞意を示したと伝えられている。
それでも与党は、あくまで公訴庁の捜査権を認めない方針を貫徹した。その代わり、警察に補充捜査を求める権限を強化。性暴力や児童虐待など7犯罪に限っては、警察ではなく重大犯罪捜査庁に補充捜査を要求できるよう追加で法改正する方向だ。