国際サッカー連盟(FIFA)は31日、設立を計画している新子会社「FIFA Forward Enterprise(FFE)」に関する声明を発表した。
FFEとはFIFAの商業やFIFAワールドカップ等の主催大会の運営を担い、放映権やスポンサーシップ、チケット販売、ライセンス事業などを一元的に管理する子会社。FIFAが経営権を維持したまま少数株式を長期投資家へ売却することで、今年後半までに最大42億ドル(約6700億円)の調達を目指すことが同連盟より明かされた。
FIFA加盟国の過半数の支持とFIFA理事会による承認がFFEの設立条件となっているが、ワールドカップという世界最高峰の大会を含むFIFAの商業権の一部を民間投資家に売却するという前例のない計画は大きな物議を醸し、サッカー統治機構のあり方やプロセスの透明性をめぐる議論が巻き起こっている。
欧州サッカー連盟(UEFA)は加盟55協会による緊急会議を開催し、「ワールドカップおよび、その他のFIFA主催大会の所有権を民間投資家に譲渡するというFIFAの提案を、我々は満場一致で断固として拒否する」との声明を発表。FIFA主催大会をボイコットする意思を示したほか、北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)も加盟する41協会すべてが提案を拒否することを明かした。
そんな中、FIFAは「FFE案に関する説明」と題した声明を発表。各方面から寄せられている意見や懸念を尊重し、オープンかつ民主的な協議を続けていく姿勢を強調しつつ、メディアの誤った報道によって計画していたプロセスに支障が生じていると主張した。
「我々は各協会(MA)が事実に基づいた判断を下せるよう、協議プロセスを継続していく。FFEの提案はFIFAに加盟しているすべてのMAが自国におけるサッカーの商業的機会に対して有意義な形で主体性を持てるようにすること、そしてそれがFIFAやサッカーそのものの精神やガバナンスを犠牲にすることなく実現されるようにすること、ただそれだけを目的としている。サッカーを売却するようなことはない。FIFAがそのようなことを検討することもありえない」
その上で、FFEとはFIFAが恒久的に所有、管理する子会社であり、創出された商業的価値は211の加盟協会すべてに分配されると説明。株式売却によって得られた資金をもとに各協会には今後4年間で2000万ドル(約32億円)の開発資金が提供され、さらに追加で2000万ドル(約32億円)が支給されると強調した。また、株式売却によってFIFAの管理権が譲渡されたり、ガバナンス構造が変更されることは一切ないとしつつ、各協会の参加は完全に任意であるとも発表されている。
なお、FFEの設立計画をめぐっては、かつて欧州スーパーリーグ構想を支援していた「JPモルガン」がFIFAと連携してプロセスを進行中で、FIFA加盟国過半数の支持と理事会の承認が得られた場合には「Thrive Eternal(スライブ・エターナル)」が投資家グループを主導する見通し。スライブ・エターナルはアメリカのベンチャーキャピタル企業であり、同国のドナルド・トランプ大統領の義理の息子であるジャレッド・クシュナー氏の弟、ジョシュア・クシュナー氏が率いている。