国際サッカー連盟(FIFA)は28日、同連盟の商業およびイベント運営を統合する新子会社を設立する計画を発表した。
設立が検討されている「FIFA Forward Enterprise(FFE)」はFIFAの所有と管理のもと、商業活動やFIFAワールドカップをはじめとする主催大会の運営を担うとのこと。初期株式評価額は200億ドル(約3兆2700億円)とされており、民間投資家に一部の株式を売却することで、今年後半までに最大42億ドル(約6900億円)の調達を目指しているという。FIFA加盟協会には発展資金として2000万ドル(約32億円)が分配され、その後も定期的に資金が提供される仕組みになっているようだ。
FFEの設立はFIFA加盟国の過半数の支持とFIFA理事会による承認が条件。FIFAはFFEの単独支配権およびサッカーのガバナンス、大会、試合日程、その他すべての規制および競技に関する決定権を独占的に保持することを強調しつつ、「FFEの純利益はすべて世界中のサッカーに再投資される」と発表している。
FIFAは「JPモルガン」と連携してプロセスを進行中。加盟国過半数の支持と理事会の承認が得られた場合には「Thrive Eternal(スライブ・エターナル)」がFFEの投資家グループを主導する見通しと明かした。スライブ・エターナルはアメリカのベンチャーキャピタル企業であり、同国のドナルド・トランプ大統領の義理の息子であるジャレッド・クシュナー氏の弟、ジョシュア・クシュナー氏が率いている。
イギリス紙『タイムズ』によると、FIFA会長選挙での再選が確実視されているインファンティーノ会長は、2031年までに任期を終えた後、FFEの要職に就任する可能性があるとのこと。すでにサッカー界からは今回の計画への批判が相次いでおり、関係者の間では「サッカー界にとっての核爆弾となり得る」、「欧州スーパーリーグ構想よりも遥かに深刻な事態を招く可能性がある」などという声が漏れているようだ。
また、イギリスメディア『スカイ』はFIFAワールドカップ2026決勝の前日にニューヨークで行われた各サッカー協会との会合において、FIFAが計画について一切言及していなかったと指摘。欧州サッカー連盟(UEFA)は計画の内容、インファンティーノ会長によるFIFAの運営手法に激怒しており、反対姿勢を協議するべく近日中にオンラインでの緊急会議を開く予定だという。仮にFIFAが計画を強行した場合、UEFAとしてFIFAワールドカップのボイコットを検討する可能性もあるようだ。
FIFAの一部を民間投資家に売却するという今回の計画について、UEFAは次のような声明を発表し、反対姿勢を強調している。
「サッカーの統括機関が決して超えてはならない一線を超えている。UEFAはこの問題を極めて深刻に受け止めている。各国のサッカー協会も同様であるべきで、リーグ、クラブ、選手、サポーター、政府、そしてこの競技の未来を案ずるすべての人々、あらゆるステークホルダーが同じ認識を持つべきだ」
「サッカーの魂や統括のあり方は、取引の対象となるような『資産』ではない。ましてや、誰が金銭的利益を得るのかまったく不透明な状況下での取引などなおさらだ。我々は誰もサッカーの『所有者』ではなく、FIFAが売りに出して良いものでもない」