近鉄が、新型レール削正車「きずな」を導入します。
新型レール削正車「きずな」導入
近鉄は2026年7月28日、新型レール削正車「きずな」を9月に導入すると発表しました。
線路のレールは、列車の車輪が繰り返し接触することで表面に金属疲労が蓄積し、傷が付きやすくなります。傷を放置すると悪化して亀裂となり、レールの折損につながります。
これを防ぐため、レール表面の金属疲労を初期段階で除去するレール削正が行われています。レール頭部の形を整えると、騒音や振動が減る効果もあります。
近鉄が現在採用している削正方式は、回転する砥石でレール表面を削正するグラインディング式です。一方、「きずな」はカッター刃でレール表面を切削するミリング式を採用し、仕上げにグラインディング式を併用します。
近鉄によると、この削正方式の導入により、作業1回あたりの施工距離が現行の約2倍に延伸され、作業効率の大幅な向上を見込んでいるといいます。
また、削正時に発生する切りくずは、「きずな」のコンテナに集積され、すべてリサイクルされるため、環境負荷の低減に貢献します。作業時にほとんど火花が発生しないため、対応作業員が不要となり、作業を省力化できるメリットもあるそうです。
さらに、「きずな」は輪軸を交換すると改軌(線路の幅を変えること)が可能であり、近鉄が有する標準軌と狭軌のどちらでも作業が可能となります。
「きずな」は、ローベル社(ドイツ)製のROMILL600です。全長17.0m、全幅2.7m、全高3.7m、総重量約60t。ミリング装置はシュベアバウ・インターナショナル社(ドイツ)、仕上がり検測装置はフォーゲル&プレッチャー社(オーストリア)が製造しました。
「きずな」の名前は、社内公募と社員投票で決定。レールの「傷」を「無」くすという意味と、現場係員の「絆」でレール折損を未然に防ぐという強い思いが込められているといいます。
これまで近鉄では、レール表面の傷が見つかってから不定期に削正を行っていました。場合によっては対処が遅れて傷が除去できず、傷が進行してレール交換が必要となるケースもあったそうです。
今後は既存の削正車(グラインディング式)と「きずな」を併用し、削正作業の頻度と作業量を増やす方針です。また、レール削正を定期的に行うことで、レール交換の頻度を抑制し、メンテナンス作業の省力化を進めていくとしています。
「きずな」は、5月28日に近鉄京都線の宮津基地(京都府京田辺市)に到着しており、整備を経て9月頃から本線で作業を始める予定です。
なお、同様のミリング式を採用したローベル社のレール削正車は、京王電鉄も2026年に導入しています。