アメリカ海軍海上システム司令部は2026年7月15日、退役した世界初の原子力空母「エンタープライズ」の解体をめぐる契約について、入札手続きの見直しと再審査を経た結果、改めて契約を締結したと発表しました。
長年の問題がようやく解決?
アメリカ海軍海上システム司令部は2026年7月15日、退役した世界初の原子力空母「エンタープライズ」の解体をめぐる契約について、入札手続きの見直しと再審査を経た結果、ノーススター・マリタイム・ディスマントルメント・サービスLLCと改めて契約を締結したと発表しました。
この契約により、いよいよ世界初の原子力空母である同艦は、アラバマ州モービルで解体される予定です。契約総額は約4億1850万ドル(約670億円)となります。
同契約は当初、2025年にノーススター・マリタイム・ディスマントルメント・サービスLLCとの間で締結されていました。しかし、競合入札者であるHIIシップサイクルが、電子入札システム上の問題により最終提案書が期限内に提出できなかったとして異議を申し立てました。その後、裁判所の判断を受けて入札手続きが見直され、再入札が実施された結果、前回と同じくノーススター・マリタイム・ディスマントルメント・サービスLLCが解体事業を請け負うことになりました。
「エンタープライズ」の船体は完全に解体される予定で、発生するすべての材料は適切にリサイクルまたは処分されます。特に、低レベル放射性廃棄物を含む有害物質については、適切に管理・梱包されたうえで、認可された処分施設へ安全に輸送・廃棄される計画です。作業は2030年9月までの完了を予定しています。
解体される「エンタープライズ」は、世界初の原子力空母として1961年に就役し、「ビッグE(Big E)」の愛称で親しまれました。冷戦期から、9.11同時多発テロ事件後の「不朽の自由作戦」に至るまで、数多くの軍事作戦に参加しています。
同艦は2012年に退役しましたが、8基の原子炉を搭載していることから、その処分方法の決定には長い時間を要しました。また、アメリカ海軍には原子力空母のような大型艦を数年単位で解体できる専用設備が存在しないため、「エンタープライズ」は長期間にわたりバージニア州ニューポートニューズ造船所に係留されていました。
当初、海軍による試算では、解体費用は最低でも7億ドル、最大で14億ドルに達すると見積もられていました。そのため、海軍は民間企業の技術や設備を活用して、安全かつ効率的に解体する方針を採用しました。
なお、ニミッツ級原子力空母の1番艦「ニミッツ」は、2026年5月から退役時期が延長されたものの、現在も退役が近づいています。さらに、今後10年以内には同級空母9隻が順次退役を迎える見込みです。これらの艦艇はそれぞれ2基の原子炉を搭載しており、「エンタープライズ」より原子炉数は少ないものの、複数の原子炉を搭載した大型艦を安全に解体する技術や手順を、後続艦の退役に先立って確立する必要があります。