爆撃機に「高性能」は必要ない!? 秘訣は「敵に近づかない」こと 各国が旧式機を使い続ける理由 日本周辺にも飛来

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B-52やTu-95など半世紀以上前に開発された爆撃機が現在でも第一線で使用されています。旧式機が生き続ける背景には「爆撃」手段の大きな変化があるようです。

敵の防空網に侵入すれば確実に撃墜されてしまう

 「爆撃機」と聞けば、多くの日本人が思い浮かべるのは、第二次世界大戦においてB-29が都市上空から大量の爆弾を投下する姿ではないでしょうか。巨大な機体が敵地へ侵入し、絨毯爆撃によって広範囲を破壊する。こうしたイメージは戦史の中で強烈に刻み込まれています。しかし、その認識は現代の航空戦では必ずしも正しくありません。

 確かに、アフガニスタンやイラク、シリアといった対テロ戦争では、アメリカのB-1B「ランサー」やB-52H「ストラトフォートレス」が多数の爆弾を搭載し、地上部隊を長時間支援する「空飛ぶ弾薬庫」として運用された事例は少なくありません。

 しかし、これは味方が制空権を完全に掌握し、敵の防空能力がほぼ失われた特殊な戦場だからこそ可能だった運用です。

 国家同士が戦う本格的な近代戦では事情がまったく異なります。長距離地対空ミサイルや早期警戒レーダー、戦闘機などにより多層的に構成される防空網へ大型爆撃機が侵入すれば、その巨体は格好の標的となってしまいます。

 したがって現代の爆撃機は、敵の頭上まで飛んで爆弾をばらまく航空機ではなく、むしろ敵の防空圏へ近づかずに攻撃を実施する「長距離ミサイル母機」としての役割が中心になっています。

射程1000km超えの長射程巡航ミサイルを搭載

 「長距離ミサイル母機」の代表的な兵装が空中発射型巡航ミサイルです。巡航ミサイルは1000km以上もの射程を持ち、地形に沿って低高度を飛行しながら目標へ向かうため迎撃が難しい特性があります。

 大型爆撃機は、その搭載能力を生かし、こうした長射程ミサイルを多数搭載できます。敵の防空圏外から一斉発射し、多方向から目標へ殺到させることで、防空システムそのものを飽和させる戦術が重視されています。

 例えば中国空軍のH-6K爆撃機は、原型こそ1950年代の旧ソ連製爆撃機Tu-16に由来する古株ですが、新型エンジンや最新搭載電子機器への更新によって長距離巡航ミサイルの運搬能力を獲得しました。発射地点を自由に選択できるため、東シナ海や太平洋上へ進出することで日本列島の大部分を射程に収めることが可能です。

 さらにロシアや中国は、爆撃機へ長射程対艦ミサイルを搭載する能力にも力を注いでいます。その最大の標的はアメリカ海軍の空母打撃群です。世界最強の空母航空戦力に真正面から挑むことは困難であるため、爆撃機が遠距離から大型対艦ミサイルを発射し、空母航空団の戦闘機の活動範囲外から「飽和攻撃」を加えることが重要な戦術となっています。

中国の長射程対艦ミサイルに対抗するアメリカ空軍

 一方、中国海軍の急速な拡張を受けてアメリカでも、爆撃機への対艦攻撃能力付与が進んでいます。B-52HやB-1Bに加えB-2「スピリット」にも長距離対艦ミサイルLRASMの運用能力が追加され、将来のB-21「レイダー」も同様に対艦攻撃を重要任務の一つとして担うとみられています。

 現代の爆撃機にとって重要なのは敵地上空へ到達することではなく、どこからミサイルを発射できるかという「発射プラットフォーム」としての価値なのです。このように爆撃機の本質は「大量の爆弾を投下する航空機」から「長距離精密兵器を大量に運搬する航空機」へ変化したことで、機体そのものの飛行性能は以前ほど重要ではなくなっています。

 敵戦闘機と格闘戦を演じるわけでも、防空網を突破するために超高速で突入するわけでもありませんから、十分な航続距離と搭載能力、そして最新の通信・指揮統制システムを備えていれば、その任務は果たせます。

 だからこそ1950年代に初飛行したB-52、H-6、Tu-95等が今なお第一線にあり、現役を続けていられるのです。