「勝負どころで強い」と恩師=感情と向き合い成長―代表の中心となった堂安律選手・W杯サッカー

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 「感情的になり、正しい判断ができないことがあった」。サッカーのワールドカップ(W杯)1次リーグ最終戦で先制点をアシストした堂安律選手(28)について、そう振り返るのは年代別代表監督などを務めた内山篤さん(66)だ。
 感情的な一面は時に「武器」になる。「勝負どころで強い」。気持ちが前に出るからこそ、プレッシャーのかかる大一番やこう着した試合を打破することができた。
 中学2年から堂安選手を見てきた。「かーっとなるところは大好きなんだけど、コントロールしないといけない」。常に冷静な判断を求めた。途中交代を告げると時に涙を見せて悔しがったといい、内山さんは「2回くらい泣かした」と苦笑いする。
 内山さんはU20(20歳以下)監督時代、目立ちたがり屋の堂安選手から「何度も年代別代表に招集されているのになぜ、主将にしないのか」と詰め寄られたことがある。感情のコントロールが課題と感じ、当時、その選択肢はなかった。
 堂安選手は2022年、W杯カタール大会出場が懸かったアジア最終予選のオーストラリア戦とベトナム戦で代表メンバーから外れた。内山さんは当時、堂安選手が感情的になり、その後の再招集に応じない可能性もあると懸念した。しかし、「次に呼ばれたらやるのか」と確認すると、「やりますよ」とあっさり返答。感情を整理して先に向かう姿勢に精神的な成長を感じたという。
 堂安選手はその後、代表に復帰。カタール大会で強豪のドイツとスペインからそれぞれゴールを奪い、チーム躍進の立役者となった。
 今大会の初戦では、ゲーム主将を務めた。「自分の負けたくないという気持ちをチームに還元できるようになっている。格段に変わった」と内山さん。感情の向き合い方を覚えた教え子の成長ぶりに「もうチームの中心にいる」と称賛した。
 決勝トーナメント進出を決めたスウェーデン戦の前、「勝ちにいきます」とメッセージが送られてきた。これを裏付けるように試合で1アシストを記録し、勝負強さを改めて感じた。
 先制点につなげた鋭いスルーパスは「律の得意技で誰とでも合わせられる。ブラジル戦でも通用するプレーだ」と語った。「もうサポーターの1人なので、一つでも上にいけるよう祈るのみです」と明るい声で期待を込めた。 
〔写真説明〕スウェーデン戦の後半、先制ゴールを決めた前田大然選手(手前右)を祝福する堂安律選手(同左)=25日、米ダラス
〔写真説明〕サッカー日本代表の堂安律選手(右)と内山篤さん(内山さん提供)
〔写真説明〕サッカー日本代表の堂安律選手について語る内山篤さん=4月16日、浜松市