バッテリーパックを使う乗りものは、そのパックの使い勝手にスペックが左右されてきました。本田技研工業のパックの能力について見ていきます。
バッテリーパックはインフラとセットで出すべし
自動車やバイクなどといったモビリティの電動化を実現させる場合、大きく分けて2種類のアプローチが取られます。エネルギー源となるバッテリーを「取り外せるのか、はたまた一体化しているのか」という仕組みによる違いです。
バッテリーが一体化している乗りものは、バッテリーの充放電量が大きく重量も重いため、構造上、容易に取り外すことを想定されていない設計です。そのため、CHAdeMO(チャデモ)のような、統一規格に沿ったケーブルでの充電方法が一般化しています。
一方、バッテリーが取り外し可能な乗りものは、メーカー指定の充電器を用いて充電する必要があります。しかし、電動自転車のように「自宅と自転車置き場が離れている」状況でも問題ないよう、バッテリー本体は持ち運びに難儀しない重量に収められています。
2026年6月17日(水)から20日(土)まで幕張メッセで開催された「CSPI -EXPO 2026(建設・測量生産性向上展)」で、本田技研工業(ホンダ)は以前から進めていた取り組みの成果を展示しました。
同社は数年前から、着脱式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:(ホンダモバイルパワーパックイー)」の開発と普及に取り組んでいます。これは重量10kgのバッテリーパックで、可搬型の多くに見られる鉛バッテリーではなく、リチウムイオンバッテリーを採用しています。そのため、重量に対して充放電できるエネルギー量が多いのが特徴です。
「いつでもフル充電」が生み出す新たなメリット
今回のCSPIでは工事事業者向けとして、いくつかの製品とあわせて展示が行われました。展示されたコマツ製のマイクロショベルカーをはじめ、バッテリーパックを使った舗装用の小型転圧機(ハンドガイドローラーなど)、工事現場で使う投光器などが、同バッテリーで駆動するように設計されています。また、複数のバッテリーをまとめて挿入し、簡易的な発電機として利用できるユニットも展示されていました。
このバッテリーパックは、住宅街や隘路(あいろ)のような重機が入りにくく、騒音に配慮しなくてはならないエリアでの運用が想定されています。ディーゼルエンジンを使った作業車はどうしてもサイズの小型化に限界があり、加えて発生する騒音はアイドリング時でもかなりのものです。これを解消するため、可搬かつ大出力のモバイルバッテリーと、それを動力とする独自設計の小型重機が用意されたとのことです。
とはいえ、日本ではまだバッテリーパックの需要がそこまで高くなく、東京と大阪に専用のバッテリー交換ステーションがひっそりと置かれている状況です。しかし、これが海外、特に東南アジアにおいては事情が全く異なります。
東南アジアでは電動二輪や電動三輪のモビリティの需要が高く、このバッテリー交換ステーションもある程度設置されています。バッテリーを交換すればすぐフル充電で動けるため、「24時間365日、いつでもオペレーションに対応できる」という点は、現地で高い評価を得ています。
こうしたことを鑑みると、インフラが整った状況でニーズがあって初めて、バッテリーを主軸としたモビリティが本格的に普及する段階に進めるのでしょう。