圏央道の未開通区間として建設中の「横浜環状南線」。現在はどのような進捗状況なのでしょうか。現場に入ってみてきました。
「トンネル技術の見本市」区間から地上に出た!絵があった!?
NEXCO東日本は2026年6月18日、「圏央道」の一部となる建設中の高速道路「横浜環状南線」の見学ツアーを開催しました。
横浜環状南線は、首都高湾岸線や横浜横須賀道路と接続する釜利谷JCTから西へ、国道1号の戸塚ICまでを東西につなぐ約8.9kmの路線です。全体の約7割が、横浜の住宅街を貫通する地下構造となります。
ツアーの一行を乗せたバスは釜利谷JCTの工事ヤードから、工事用道路として使われているトンネル上り本線を西へ向いました。
本線トンネル2本とランプトンネル2本の計4本が並列する「4連区間」、本線とランプの分岐・合流部に幅29mという超大断面の地下空間を建設する「分合流区間」、地上からの土被りわずか1.7mの地下に非開削で函体トンネルを建設する「低土被り区間」、この3つが約1.0kmのあいだに連なる「釜利谷庄戸トンネル工区」を見学したのち(※)、ようやくトンネルを抜けました。
※6/19配信「なんという巨大な地下トンネル…! 建設たけなわ「横浜の圏央道」へついに潜入 住宅街の地下に“日本最大断面” まるでトンネル技術の見本市!?」参照
庄戸トンネルから次の桂台トンネルのあいだは谷の地形になっており、谷底を通る横浜の環状4号線をまたぐ約300mの橋梁区間です。これも上り線はほぼ完成して工事用道路として使われており、現在は下り線の施工中です。
バスを下りて後ろを振り向くと、地元の小学生らが描いたという、なんとも明るい「壁画」に迎えられました。これは「防音ハウス」と呼ばれるトンネル坑口付近を覆う大きな箱型の施設で、騒音などの影響を軽減するためのもの。反対側の桂台トンネル坑口にもイラストが描かれた防音ハウスが見えます。
さらに桂台トンネルへと進みます。
桂台の住宅街直下を貫く約1.4kmのトンネルは、シールド工法が採用されました。防音ハウス付近をスタート地点の発進立坑として2021年から上り線トンネルの掘進が始まり、反対側まで到達したところでマシンを回転させ、下り線を施工。2024年に掘進を終えています。片側3車線断面のトンネルを掘るシールドトンネルの直径は15.28mと、日本最大級だったそうです。
トンネルの下にトンネルがある!?
バスは、仮の舗装で仮の照明が取り付けられた桂台トンネル上り線を進みました。「右手のほう、実際に供用したあとは左側になりますが、ところどころ、少しスキマが空いているところがあります。あそこには“すべり台”を取りつけます」との案内が。
実は桂台トンネルは、断面の下部空間を使ってもう一つ、矩形の避難用トンネルが構築されているといいます。すべり台はそこへの避難施設として、本線トンネルの200mおきに設置されるとのこと。避難用トンネルといえど緊急車両なども通行できるほどの大きさだそうで、これも大断面トンネルならではといえるかもしれません。
桂台トンネルの「回転立坑」である出口を抜けると、視界が一気に開けてきます。ここが「公田(くでん)IC」の工事現場です。釜利谷JCTからの工事用道路はここまで通じています。
●高所恐怖症はビビる!?「公田IC」
ここも桂台の段丘と谷の地形を生かしたICとなっており、本線は地下構造のまま通過しますが、ICのランプと料金所はその両側をさらに掘り下げた掘割の中に設けられます。現在は掘割部の底部にコンクリートを打設している真っ最中です。
さらに、桂台トンネルから公田IC本線部の上には横浜市道「上郷公田線」がアクセス道路として建設されます。
将来の上郷公田線が通る高さには現在、工事用の桟橋が設けられています。「下を覗き込む場合は気を付けてください。かなり高いですよ」と言われて見下ろすと、はるか下でランプ底部の鉄筋が見えました。桟橋からは最大25mほど掘り下げているそうです。
また、周辺の生活道路も工事のために切り回されており、一部は桟橋上の仮設道路として供用している状態です。
この公田IC部(950m)で使う鉄筋量は約3万トン、コンクリートは約18万立法メートルという途方もない数字です。丘の上にはコンクリートを製造するプラントが設けられており、ここではコンクリートの品質試験のデモンストレーションも披露されました。ここで、ツアーは全行程を終えました。
「最初から6車線」と「暫定2車線」で分けられる横浜環状南線
公田ICから先の横浜環状南線は、公田笠間トンネル(1.7km)を越えると一気に高度を上げて橋梁区間となり、JR線をまたぎます。このJR線の手前までがNEXCO東日本の担当範囲で、そこから戸塚ICまでは国土交通省が担当。新湘南バイパス(圏央道)に通じる「横浜湘南道路」と接続する栄IC・JCTを経て、戸塚ICで国道1号に接続します。
なお、圏央道の一部をなす釜利谷JCT~栄JCTは6車線(片側3車線)で整備されますが、栄JCT~戸塚ICは暫定2車線となります。
このように一連の工事が“たけなわ”といえる横浜環状南線ですが、開通は一体いつなのでしょうか。当初の「2025年度」という開通予定が2022年に白紙になって以降、再発表はされていません。
国土交通省が担当する栄JCTなども、田んぼのなかに複雑な「橋桁の森」がすでに出来上がっています。NEXCO東日本の担当範囲の進捗を聞くと、舗装や施設工事を除いて「本体工事は全て発注済み」とのこと。
ツアー参加者からも開通予定を問われ、「いや、10年はかからないようにしたい」――と答える一幕もありましたが、これはおそらく相当にバッファをもたせた回答でしょう。工事用道路が通じて施工性が格段に向上したということもあり、早期の開通に期待がかかります。