2026年サッカー・ワールドカップ北中米大会が開幕し、日本代表はテキサス州のダラス・スタジアムで初戦を迎えます。日本人にも馴染み深い大都市ダラスですが、その名を冠した米軍艦は過去に1隻のみ。その正体と数奇な記録を解説します。
W杯2026、日本代表の初戦は「ダラス・スタジアム」で
6月12日(日本時間)のメキシコ対南アフリカ戦を皮切りに、ついにサッカー・ワールドカップ2026が開幕しました。日本代表は15日の対オランダ戦で初戦を迎えますが、その開催地はテキサス州アーリントン市に所在するAT&Tスタジアム。同市は近傍にある大都市ダラスの都市圏の一部であるため、ワールドカップでは「ダラス・スタジアム」として案内されています。
ダラスは、テキサス州内で3番目の人口を有する大都市で、全米で見ても第9位の規模を誇ります。そのため、JALが直行便を飛ばすなど日本人にとっても馴染みのある街ですが、ロサンゼルスやシカゴなどとは異なり、過去にアメリカ軍艦の艦名となったことは一度しかありません。その唯一の例は、一体どんな軍艦なのでしょうか?
地名由来で「ダラス」と名付けられた唯一の軍艦は、ロサンゼルス級子力潜水艦の13番艦です。ちなみにロサンゼルス級の各艦は、「ダラス」に限らず艦名にはアメリカの主要な都市名が付与されています。
ロサンゼルス級は、アメリカ海軍が性能、汎用性、量産性、コストといった要件を総合的に評価して、1960年代末にコンセプトが出された攻撃型の原子力潜水艦です。1972年1月8日にネームシップ(1番艦)の「ロサンゼルス」が起工、1976年11月13日に就役したのを皮切りに、1995年の23年間で改良型(いわゆる改ロサンゼルス級)まで含み、62隻が建造されました。
ちなみにこれは、現在のところ原子力潜水艦史上における「単一クラスでの最多生産記録」となっています。
次の「ダラス」はどんな艦になるのか
ロサンゼルス級は、アメリカ海軍の攻撃型原潜では第3世代となるクラスで、水中速力33ノット(約61.1Km/h)、浮上時速力15ノット(約27.8km/h)、乗員数は約140名。武装として、533mm魚雷発射管4門とミサイル垂直発射装置(VLS)を12セル備えています(VLSは中期型であるフライトII以降から装備)。
なお、魚雷発射管からは音響誘導式のMk.48魚雷だけでなく、対艦ミサイル「ハープーン」や巡航ミサイル「トマホーク」といった各種誘導弾を水中発射できるほか、各種の機雷も射出することが可能です(過去には対潜ミサイル「サブロック」の運用能力も有していた)。
2026年現在は、新型のバージニア級(66隻調達予定)への更新が進んでいるため、初期に建造されたフライトIの31隻は全艦退役済みで、中期型のフライトIIが1隻と後期型のフライトIII(改ロサンゼルス級)20隻の、合計21隻が現役で運用されています。
前述したように、「ダラス」はロサンゼルス級の13番艦(フライトI)として1981年7月18日に就役しました。ただ、37年間の現役を経て2018年4月4日に退役しており、次に「ダラス」の都市名がアメリカ軍艦に付けられるのはいつなのか、また艦種が何になるのかは、まことに興味深いところです。
とうぜん、今回のワールドカップで日本代表が勝利することも期待したいです。予選リーグを無事に突破できるよう、初戦となるダラス・スタジアムでの対オランダ戦には皆で注目しましょう。