トヨタのグローバル戦略車「RAV4」が6代目へとフルモデルチェンジしました。外観は変化しつつも、サイズなどは先代と変わっていません。どのような進化を遂げたのでしょうか。
“攻め”のモデルチェンジ! 新型「RAV4」登場
トヨタの中型SUV「RAV4」は、同社のグローバル戦略を牽引する“エース中のエース”といえるモデルです。世界180以上の国と地域で販売され、年間販売台数は100万台を超えています。
そんなRAV4は2025年12月、満を持して6代目へとフルモデルチェンジ。2026年3月にはPHEV(プラグインハイブリッド)モデルも発売となり、予定していたラインナップが出そろいました。
開発テーマはトヨタの経営ビジョンと同じく、「進化と継承」。筆者(山本シンヤ:モータージャーナリスト)は、5代目が提示した「使える相棒」「どこでも行けそう」という原点回帰の路線はそのままに、現代に求められる「電動化」「知能化」「多様化」への挑戦を盛り込んだ、非常に“攻め”のモデルチェンジだと分析しています。
ラインナップは主に3系統で、ユーザーの多様なニーズに応えるべく、それぞれキャラクターが明確に切り分けられています。メインモデルである「Z」は、シームレスなグリル一体型フロントバンパーで先進的な「電動車らしさ」をアピール。一方、北米トヨタのSUVと共通の意匠を持つ「アドベンチャー」はタフさを強調しています。
さらに走りを追求した「GR SPORT」では、「GR」モデルのアイコンである「ファンクショナルマトリックスグリル」の進化系を採用。スポーティな雰囲気を一層強めています。
ちなみに、スクエアなデザインとなったことで外観の存在感は増していますが、全長・全幅・全高など、ボディサイズやホイールベースは従来型から変わっていません。取り回しの良さが維持されているのも嬉しいポイントです。
インテリアは従来の基本レイアウトを踏襲しつつ、より水平基調のデザインとなり、センターモニターの位置が最適化されるなど洗練を強めています。操作系統も、全体的に物理スイッチを減らしてスッキリまとめつつ、走行に関する重要なスイッチは物理式のまま残すなど、実用性に配慮した操作系と言えるでしょう。
「本命モデル」PHEVの実力は?
こうしたインテリア周りのデザインや操作系統の最適化は、実際に運転席へ座ると効果が即座にわかります。前後ともに、視界を遮るノイズが大幅に減っているのです。
もちろん、死角はカメラで全方位的にカバーしていますが、やはり直接の「見やすさ」こそ、運転時の安心感に直結するものでしょう。加えて、運転席周りは左右で役割を明確にしたステアリングスイッチ(左:エンタメ関連、右:運転支援)や、フードレスのフル液晶メーター、使い勝手が向上した最新インフォテインメントなどを備え、先進的でありつつ、非常に見やすくまとめられています。
一方で走りの進化はというと、端的に表すと“大人になったRAV4”といった雰囲気。従来型RAV4と、より上位に位置する「ハリアー」とのいい所取りと言える仕上がりです。
プラットフォームは、これまでの知見をフィードバックした「第2世代GA-K」に進化。フロア部分の高剛性化や、サスペンション取り付け点剛性の大幅なアップ(フロント+31%、リア+27%)などのブラッシュアップが実施されました。
これにより、新型RAV4はドライバーの操作に対して「より意のまま、より滑らか、より自然」に動くフットワークを実現。ステアリングも軽めながら直結感が高く、雑味のない感触。質感としては、プレミアム系モデルの領域に一歩踏み入れたような印象です。
また、パワートレインは前述の通りHEV(ハイブリッド)とPHEVの2種をラインナップしています。HEVモデルは、日常走行でも容易に20km/L超えの低燃費をマークするうえに、走りも電動車的な味わいが増した印象。静粛性もアップしました。
ただ新型RAV4の“本命”は、第6世代に刷新されたPHEVモデルです。電動システムは一体構造化による小型・軽量化に加え、高出力化や高効率化が進められました。バッテリー容量もアップし、システム出力は329ps、EV航続距離は150kmに向上しています。
加えて、PHEV専用となる「GR SPORT」は、ワイドトレッド化を図るとともに専用のパフォーマンスダンパーやサスペンションを装着。思い通りに気持ちよく曲がるハンドリングと快適性を両立しています。路面の接地感は悪天候でも掴みやすく、乗り味はクルマ好きも唸る“スーパーノーマル”な仕上がりと言えるでしょう。
全方位で高い完成度、しかし“気になる点”も?
このように、新型RAV4は全方位的に高い完成度を誇っていますが、いくつか気になるポイントもあると感じました。
それは、インテリアの仕様差です。「Z」には前後方向操作のエレクトロシフトや、PD規格に対応したUSB-C電源などが備わっていますが、「アドベンチャー」はメカニカル式のシフトとなっているほか、一部の装備や機能が省略されています。こうしたグレード間での装備格差には、疑問が残ると感じました。
また、メーター内に表示される車両のグラフィックは全車共通(「Z」の外観)となっていますが、せめて「GR SPORT」には、スポーツマインドを刺激する専用のグラフィックを採用してほしいところ。加えて、せっかく室内が静かなPHEVなのに、高音質なJBLオーディオの設定が無いのももったいないです。
では、新型RAV4はどのようなユーザーにお勧めのモデルでしょうか。まず、HEVはガソリン車の感覚でそのまま乗れ、燃費性能も実数値で20km/L超え、さらに走りは静かで上質です。経済性と信頼性を重視するファミリー層にベストな選択肢でしょう。
一方、PHEVは毎日の通勤や買い物を「完全なEV」として静かに、かつ経済的に済ませたいユーザーに最適です。EV航続距離は150kmを誇り、主な日常走行は電気だけでカバーできるでしょう。また、HEVモードではシステム合計329psというハイパワーで走行が可能。自宅に充電設備がなくても、この濃厚な乗り味で選ぶ価値があると言えます。
総じて言うと、新型RAV4は先代の持つ優れた視界や道具感を損なうことなく、質の高い乗り味と優れた環境性能を融合させたモデルです。この実力はあらゆるユーザーの期待に応える全方位SUVとして、間違いなく今後の市場を牽引する1台となるでしょう。