夏だけホテルもレンタカーも「べらぼうに高い!」 季節で極端に違う「変動が大きすぎる都市」そのワケとは? 逆に“穴場”を狙うなら?

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北海道では特定の時期に、ホテルやレンタカーの料金が他都市に比べ極端に高騰する都市があります。背景にはどのような事情があるのでしょうか。

ホテル4万円、レンタカー2.5万円…夏の稚内はなぜ高い?

 旅行好きの人なら、ホテルやレンタカーの料金は、季節や曜日によって変動があることをご存じでしょう。沖縄はハイシーズンの夏に料金がピークとなりますし、紅葉の時期は信州から東北の名勝地に近い都市は、ホテル代が高騰します。

 じつはそうした傾向が”極端”で、一定の時期にホテルやレンタカーの料金が他の都市に比べ、とくに大きく跳ね上がる都市があります。それは北海道、日本最北端の都市である「稚内市」です。

 宿泊はビジネスホテル、レンタカーはコンパクトクラスなど、節約と利便性のバランスを考えての旅行を重視する人なら、「ホテル代は2名1室で1泊素泊まり1万円から1万5000円」「レンタカーは1日あたり8000円ほど(免責補償、NOC補償込み、以下同)」といった予算を想定していると思います。

 しかし、こうした見込みで7月から9月の稚内での滞在を検討しネットを検索すると、驚くべき現実に突き当たります。

 たとえば国内の大手OTA(オンライン旅行会社)を使い、7月の土日の旅行を想定し検索すると、稚内市内にある有名ビジネスホテルチェーンの1泊素泊まりの料金は、いちばん安い部屋で約4万円です。釧路市にある同じ系列のホテルは同条件で約2万2000円、函館市にある同じ系列でグレードが上のホテルが約3万8000円であることを考えると、かなりの高値です。

 もちろん夏の北海道は人気のシーズンで、全般的に相場が高くなります。もし他の都市であれば、ホテルのランクを下げ、当初考えていた予算に近づける選択がありうるでしょう。ただ稚内市の場合は、それすらも困難です。なぜなら調査時点では、稚内市街中心部に近いホテルの最安値は約2万円なのです。

 レンタカーも同様です。同じOTAにて、稚内空港発着で1泊2日借りる場合、最安値は大手レンタカー会社の軽自動車で、2万5000円弱です。北海道の他の空港、たとえば釧路空港や旭川空港の大手レンタカー会社で同条件で借りる場合、コンパクトカーでもおおむね2万円に収まることを考えると、やはり割高です。

 ではなぜこの時期の稚内市への旅行は割高になってしまうのでしょうか。それは稚内市という都市の環境と、季節的な要因とが大きくかかわっています。

「日本最北の街」の夏は短い そして「独占路線」

 稚内市は「日本最北の街」として高い知名度を誇っています。しかし2026年5月末現在の人口は約2万9000人という市としては小さな自治体です。

 稚内空港には東京・羽田空港と1日4便(2往復)、同じ北海道・新千歳空港と1日4便(2往復)の定期便が就航していますが、人口規模を考えると、ビジネス客は限定的です。そのため、稚内市内のホテル、稚内空港のレンタカーは、もっぱら観光客の需要に支えられていると考えられます。

 ただ稚内市はその地理的要因から、観光シーズンが限られています。日本列島に春が訪れるとされる4月でも、稚内市の平均気温は6.5度(稚内市公式サイトより引用、以下同)で、東京の1〜2月と同等です。平均気温が20度に近づくのは7月で19.2度、以降8月は20.8度、9月は19.0度と過ごしやすい気候になりますが、10月には12.7度まで下がり、11月には4.9度と東京の真冬以下になります。

 そのため、稚内市で快適に観光が楽しめるのは、7月から9月に限られてしまいます。また稚内市は人気の離島、利尻島および礼文島への玄関口でもありますが、この両島も同様の理由から、観光客の来訪は7月から9月に集中します。

 旭川市、帯広市、釧路市など、同じ北海道でもより大きな都市であれば、観光のオフシーズンでもビジネスホテルやレンタカーにビジネスでの需要が生まれます。しかし稚内市ではオフシーズンの需要が限られて、ホテルの部屋数、レンタカーの台数ともに絞らざるをえません。

 そして7月から9月という限られた期間で年間の収益を上げるという構造から、この期間のホテルの宿泊料金、レンタカー料金が他の都市に比べ割高になってしまうのでしょう。

 また稚内市への旅行のハードルを上げているもうひとつの理由があります。それは稚内空港と羽田空港とを結ぶ定期便はANA(全日空)に限られていることです。

 旭川空港、とかち帯広空港、釧路たんちょう空港など、前記の各都市最寄りの空港にはANA(コードシェア便含む)のほか、JAL(日本航空)も就航し、競争関係による運賃値下げ圧力が生まれます。しかし稚内空港はANAによる独占で、これら各空港よりも運賃は高めになっているのです。

地域によっても「穴場」の時期が異なる

 この稚内市の例とは逆に、北海道では一部の時期にホテルの宿泊料金やレンタカー料金が安くなる地域もあります。その一例が、11~12月の「網走市」です。

 網走市はオホーツク海の冬の風物詩ともいえる流氷観光で知られる街ですが、11月から12月にかけては流氷がまだ到来する前で、かつ観光に向かない気候のためです。

 そしてこの時期には最寄りの「女満別空港」を発着する便にも空席が多く、JAL(日本航空)のミステリーツアー的特典航空券「どこかにマイル」では行き先候補として頻出します。

 このように、同じ季節でも地域の違いで需要が異なり、価格差が生まれるケースは全国にあります。

 ちなみに、費用面が気になる夏の稚内ですが、航空券はマイルによる特典航空券を使う、土日を避けてスケジュールを組むなどすれば、予算を節約することも可能です。雄大で青い海と空、夏が旬の海鮮グルメなど、最北の地にはこの時期ならではの魅力もあります。