地味に嬉しい「9mm」の差? 新型「CX-5」乗ってわかった“進化のベクトル”とは

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マツダの屋台骨を支えるミドルクラスSUV「CX-5」が、3代目へとフルモデルチェンジしました。約9年ぶりに全面刷新された新型を試乗でテストします。

3代目へ移行したマツダの“屋台骨”

 2026年5月21日、マツダはミドルクラスSUVの新型「CX-5」を発売しました。初代から数えて3代目、約9年ぶりの全面刷新ですが、果たして新型ならではの“新しさ”は感じられるのか、試乗を通じて分析していきます。

 CX-5は現在のマツダの経営を支える車種であり、マツダ全体での販売シェアはグローバルで約28%、国内では約25%(ともに2025年)を占めています。累計販売台数はグローバルで500万台(日本国内で40万台)を突破。まさに屋台骨といえるモデルでしょう。

 マツダによると、新型CX-5は「エモーショナル=走りやデザインの良さ」「デイリーコンフォート=扱いやすさや積載性の高さ、乗り心地の良さ」「新世代価値=最先端のコネクティッドシステムや運転支援技術」という3つの魅力を追求したとのこと。既存ユーザーから評価されている良さはそのままに、より多くの人が選びたくなるSUVを目指したといいます。

 そこで、新型はボディサイズを全長4690mm(先代比:+145mm)、全幅1860mm(同:+40mm)、全高1695mm(同:+5mm)と拡大。後席をはじめとする室内空間やラゲッジ容量をアップさせつつ、フォルムは先代までと同等の比率をキープしました。

 価格戦略も注目すべきポイントでしょう。新型CX-5はエントリーグレードの「S」で330万円、中間クラスの「G」が352万円、最上級の「L」は407万円(いずれも2WD)からと、価格は同クラスのライバルより低く設定されています。これは意図的だそうで、マツダは「質感と装備内容を考えればお買い得」と感じられるレンジを狙ったとしています。

 パワートレインは排気量2.5Lの直噴ガソリンエンジンを継承しつつ、マイルドハイブリッドシステムを組み合わせた「e-SKYACTIV G 2.5」を搭載しています。加えて、2027年には新しい「SKYACTIV Z」エンジンを搭載したハイブリッドも登場する予定。こちらも期待したいモデルです。

乗ってわかった“しみじみ“とした良さ

 さて、新型CX-5に乗り込んで筆者(西川昇吾:モータージャーナリスト)が最初に抱いたのは「ああ、マツダ車だなぁ」という感想。もちろん、これはポジティブな意味です。

 理由はドライブポジションの取りやすさ。マツダは近年、ペダルやハンドルといった操作系統のレイアウトにこだわっています。それぞれの取り付け位置や角度、調整幅を細かく煮詰め、誰でも運転しやすい姿勢を取れるようにしているのです。新型CX-5も、こうした部分が“しっくりくる”設計で、長時間の運転でも疲れにくいだろうと感じました。

 また、Aピラーは先代より9mm細くなっているそうで、特に斜め前方の見切りは良好。センターディスプレイも大型化されたものの、視界に被ることはありません。運転時に直接的なノイズとなる要因は極力排除されています。

 運転支援システムは、前走車との車間を一定に保ってくれる「クルージング&トラフィックサポート」や「プロアクティブ・ドライビングアシスト」などが備わっていますが、とても洗練されています。印象的だったのは、車間を一定に保つブレーキ制御。まるで運転の上手い人が実際に操っているかのような優秀さです。

 マツダ車らしい走りの良さも健在です。パワーステアリングは前輪から情報がはっきり受け取れて、サスペンションも荷重の変化がつかみ取りやすい印象。ブレーキも回生システム由来の違和感がない自然なタッチです。これは明確にクイックな味付けというより、その良さが次第に“しみじみと”伝わってくるセッティングでしょう。

 一方、個人的に惜しいなと感じたのはパワートレインです。マイルドハイブリッドシステムは操作感とのズレがない良好なフィーリングでしたが、6速ATはもう少し多段化を進めてほしいところ。“本命”であるSKYACTIV Z搭載のハイブリッド仕様には、この点も含めて期待したいと思います。

 走りや操縦性の良さはキープしつつ、運転支援システムや取り回し性などを改善し、よりユーザーに寄り添ったモデルへ進化した新型CX-5。その変化は、見た目から受ける印象よりも大きいと感じました。いろんな意味で、長く付き合うほど質感の高さがしみてくる1台でしょう。