「兄弟車があまりに多い」「販売店が埋め尽くされた」その恐るべき最盛期とは? スズキ「ジスペケ」もうすぐ半世紀

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スズキが1980年代に登場させたシリーズ「GSX」は、「ジスぺケ」と呼ばれ60種以上のモデルが存在します。最盛期には、スズキの新モデルに次々と「GSX」の名が冠され、「スズキ」ではなく「GSX」がメーカー名にも思える時代もありました。

「スズキのGSX」の名を世に知らしめた最初期モデル

 誰が呼んだかスズキの「ジスペケ」。

「ジスペケ」とは、スズキが1980年代に登場させたシリーズ「GSX」を日本語読みにした略称です。「G」=グランド、「S」=スポーツ、「X」=4バルブが由来で、前身シリーズはスズキ初の4ストモデル・GS(1976年〜)でした。

 スズキGSシリーズはホンダ、ヤマハ、カワサキに勝るとも劣らないクオリティでユーザーからの手堅い評価を受けます。そして、1980年に入りスズキはさらにGSを進化させたGSXシリーズの生産をスタートさせました。

 最初期となる1980年発売のGSX400E、GSX250Eは、GPマシンの技術を活かした装備をふんだんに取り入れました。独自のTSCCヘッドを採用したシリーズとあって、それまでの同クラスのバイクとは一歩も二歩も上を行く性能を実現しました。

 この2モデルはいずれもペットネーム「KATANA」を冠することにもなり、言うまでもなくスズキが世界中から注目を浴びることになる布石的モデルにもなりました。

 同年は追ってGSX1100E(輸出モデル)、GSX750Eなどもリリース。さらに翌1981年にはGSX400T、GSX400F、GSX400L、GSX250T、GSX250Lといった、同じ排気量でもそれぞれ仕様が異なるモデルを発売し、「スズキのGSX」の名をバイクシーンに徹底的に知らしめることとなりました。

 一方、1981年最大のトピックはやはり「KATANA」の登場です。

GSX1100S KATANA(輸出車)は、その名の通り、刀をイメージした独特のデザインと高性能の機構を持って世界中から注目を浴びます。

 1982年には、国内向けの前年の「KATANA」的なデザインをまとったモデル・GSX750Sをリリースします。ただし、このモデルには「KATANA」のペットネームはなく、デザイン的には異なる前述のGSX400E、GSX250Eの1982年モデルのほうに「KATANA」が冠されます。

もはや「スズキ」ではなく「GSX」というメーカーなのか状態に

 1983年、1984年もスズキはGSXシリーズの新作を続々と発売しますが、特に象徴的なのが、1984年発売のGSX750S KATANA、そしてGSX-R(400)でしょう。

 GSX750S KATANAは、空力特性に優れたエアロダイナミクス・デザインで、ここで初めて前述のGSX1100SKATANAとも少し共通するデザインの「KATANA」が登場したというわけです。

また、GSX-R(400)はチャンピオンマシンのレプリカ的モデルで、カウルやデザインなどをそっくりそのまま反映しています。GSXの特長のTSCCはさらにブラッシュアップされ、また前後輪合計10個のピストンで強力な制動力を発揮するDPBSという機構も市販車では世界で初めて採用されました。こうして従来の市販マシンよりもさらに数歩リードするモデルとなり、大ヒットに繋がりました。

 そして、GSXシリーズの凄さを決定づけたのが1985年発売のGSX-R750です。ワークスマシンの成果を集約させたモデルで、他車よりもはるかに軽い重量でありながらも、パワーは他車よりも抜きん出ることで、同時代のレーサーレプリカブームの象徴的モデルになりました。

 筆者(松田義人、ライター・編集者)は、このGSX-R(400)、GSX-R750あたりから「ジスペケ」の呼称が広まり、そして当時は多くの人が「シリーズの呼称」というよりも、この2モデルを指し「ジスペケ」または「ジスペケ・アール」と呼称していたように記憶しています。

 この「ジスペケ」大ヒットを受け、1980年代中盤から後半にかけて、スズキは畳み掛けるかのように、複数のモデルをリリースします。

 以降、1990年までのスズキ製のミドルクラス以上のロードバイクの新モデルは次々と「GSX」の名が冠されました。もはや「スズキ」というより「GSX」というメーカーのバイクのように思えるほど、この時代のスズキの販売店に並んだ中型、大型バイクは「ジスペケだらけ」だったというわけです。

「ジスペケだらけの黎明期」以降も、GSXシリーズは、スズキの代表的なロードスポーツモデルであり、またロングツアラーとしても性能を発揮したモデルで、世界中で愛され続けて今日に至ります。

 1980年の誕生から46年になる今年、そのモデルを数えてみると、なんと60種以上ものジスペケが存在します。さらにモデル個々の派生車も含めて考えれば無数のバイクが生まれました。

 そして、その進化と挑戦は今日も止まることなく、続々と新しいGSXシリーズが登場し続けています。あと数年で訪れる50周年以降も「ジスペケ」はスズキの矜持と開発力の凄さを象徴する一大シリーズであり続けることでしょう。