なぜサウサンプトンはスパイ行為を? ドイツ人指揮官が謝罪メッセージで経緯を説明「ドイツでは一般的…」

なぜ?AI需要で空調市場に注目

 スパイ行為によりプレミアリーグ昇格の可能性を剥奪されたサウサンプトン。指揮を執るトンダ・エッカート監督が、メッセージを発表した。

 チャンピオンシップ(イングランド2部)を戦っていたサウサンプトン。MF松木玖生も所属するチームはシーズンを4位で終え、プレミアリーグ昇格プレーオフに進出した。

 準決勝ではミドルズブラと対戦する中、2試合合計2ー1で勝利したサウサンプトンは決勝に進出。しかし、ミドルズブラのトレーニングを覗き見するスパイ活動を行ったとして準決勝敗退が決定。プレミアリーグ昇格が絶たれることとなった。

 クラブはこの処分を控訴したものの、EFL(イングランド・フットボールリーグは1日に棄却したことを発表。クラブも、規則に違反したことをも認める声明文を発表していた。

 そんな中、チームを指揮するエッカート監督がクラブを通じて1本のメッセージ動画を投稿。サウサンプトンのサポーター、選手に対して謝罪を行うとともに、今回の事態についての説明を行った。

「サウサンプトンのサポーターの皆さん、こんにちは。これから私が話す言葉は、決して完璧なものではないかもしれません。しかし、できる限り誠実に、そして明確に皆さんに伝えるよう努めます。皆さんはそれを知る権利があると思っているからです」

「これまでに起きたすべてのことについて、私は心から謝罪したいと思います。そして、自らの非を認めます。なぜなら、ヘッドコーチとして、私に責任があるからです。このフットボールクラブで起きたすべてのことに、そして、私のコーチングスタッフの間で起きたすべてのことに、私に責任があります」

「サポーターの皆さんに、心からお詫び申し上げます。我々と共に遠征し、非常に多くの試合で我々を支え続けてくれたすべての人々、試合ごとに一喜一憂の感情を共にしてくれた人々、そして、今シーズンの本当の最後の最後まで我々を導いてくれたすべての人々に、深くお詫び申し上げます。本来であれば、今シーズン最大の試合を戦うはずだった場所へ、皆さんは我々を連れてきてくれたのです」

「選手たちにも謝罪します。彼らはできる限りのすべてのことを、この6カ月間、文字通りあらゆる努力を尽くして、このフットボールクラブを本来あるべき場所へと戻そうとしてくれました。彼らは決勝を戦うにふさわしい選手たちでした。2年前がそうであったように、そして(FAカップ)準決勝でのマンチェスター・シティ戦がそうであったように、皆さんと共に決勝を戦う権利が、彼らにはあったはずなのです」

「4万人もの皆さんがチームを応援するためにウェンブリーへと赴いてくれました。この6カ月間の取り組みを素晴らしい形で締めくくるチャンスを、チームは手にするはずでした」

「本当に心が痛みます。このフットボールクラブの従業員の姿、スタッフの姿、そして選手たちの姿を見るのは、本当に辛いことです。彼らは試合への準備に多くのものを捧げてきました。家族を家に残し、回復に努め、これから来る試合に備えるために、多大な犠牲を払ってきたのです」

「処分が決定した日、彼らの苦しむ姿を見るのは本当に忍びないものでした。なぜなら、この決定は彼ら自身や彼らのキャリアだけでなく、彼らの家族にとっても、あまりにも大きな影響を与えるものだからです。今回の件に関係することになってしまったすべてのクラブに対しても、お詫び申し上げます。そして何よりも、我々のサポーターの皆さんに心からお詫び申し上げます」

 今シーズンのプレミアリーグへの復帰を逃しただけでなく、クラブの価値をも失墜させる大きな出来事となった今回の騒動。エッカート監督は、2025年夏にUー21チームの監督として就任。しかし、ウィル・スティル前監督がシーズン途中に解任されると、トップチームを引き継ぐことに。その後チームは勝ち点を積み重ね、昇格まであと一歩のところまで迫ることとなった。

 その功績は大きな一方で、シーズン中にもスパイ行為を行っていたことも調査されている。サウサンプトンに加わり、チームを指導してきた6カ月間での成長も感じていたものの、改めてこのような形で終わりを迎えたことを悔いた。

「私はこの夏、Uー21のヘッドコーチとして、このフットボールクラブにやってきました。そして最初の初日から、このクラブがどのような理念を持っているかを目にしてきました。このクラブが、特に昨シーズンにおいて、どれほど多くの苦しみを味わってきたかも見てきました。だからこそ、我々には再出発が必要だったのです。サポーターとの繋がりを深め、コミュニティとの繋がりを深めるための再出発が」

「そして、11月以降に私が得たチャンスと信頼によって、私は自らの人生のすべての瞬間、すべての時間を捧げて、その繋がりをクラブに取り戻そうと全力を尽くしてきました。チームとサポーターの間の繋がりを取り戻すために。そして、その繋がりは、毎週、毎月、確実に強くなってきたと感じていました」

「だからこそ、この6カ月間かけて築き上げてきた関係性の後に、シーズンがこのような形で終わりを迎えてしまったことに、言葉にできないほどの衝撃を受けています。今、我々が置かれているこの最悪な状況以上の結末は、他には考えられません」

 エッカート監督はドイツ人指揮官で、ドイツ代表のアナリストやライプツィヒの下部組織やバイエルンの下部組織でアシスタントコーチを歴任。ジェノアでもアシスタントコーチを務めていた。

 その中で、ドイツやイタリアでは、このような偵察行為は常態化していると主張。イングランドではそのようなことが認められていないものの、そうした事実関係が背景にあることを知って欲しいと訴えた。

「私がイタリアで4年以上働いていた時、我々が試合のために選んだスタメンのラインナップは、いつも試合前にメディアに漏れていました。その理由は、我々のトレーニングセッション、特に試合前のトレーニングが、常に監視されていたからです。メディアからも、そして対戦する相手チームからも、常に監視されていました」

「グアルディオラ監督も、バイエルンにいた時代に、ドイツではトレーニングセッションを監視することが一般的な慣行になっており、他のチームも同様のことをしていると語っていました。私はこれを、我々がしたことの言い訳にするつもりは一切ありません。ただ、私が育ってきたフットボール界の環境、その文脈を皆さんにお伝えしたいだけなのです」

「しかし、イングランドには異なるルールがあり、EFL(フットボールリーグ)には異なるルールが存在します。私はそれを知っておくべきでした」

 エッカート監督は、シーズン中のオックスフォード戦、イプスウィッチ戦でも同様のスパイ行為をしていたことを認め、ミドルズブラ戦も同様の行為を行ったことを認めた。そして、メッセージの中で、スパイ行為に至った経緯を説明。言い訳ではなく、経緯を伝えるべきだと考えたとしている。

「我々が問われている違反行為のいくつかの事案について、その経緯を説明させてください」

「オックスフォード戦に向けて、我々は試合の準備を進めていました。我々のスタメンのラインナップは、11月と12月の数カ月間、非常に固定されていました。試合の準備をしている際、オックスフォードが監督を交代したことを知りました。彼らがここ数週間にどのように戦ってきたかを分析する一方で、暫定監督が、過去に暫定的に指揮を執った際、常に異なるフォーメーションを好んで採用していたことにも気づきました。そこで我々は、彼らが「5バック」から「4バック」へ変更してくるかどうかを確かめるために、トレーニングセッションを確認する人間を1人送ることを決定しました」

「イプスウィッチ戦に関しては、試合当日にイプスウィッチがイーストリーでトレーニングを行っているという情報を我々は受け取りました。キックオフの2時間前、私が試合前のミーティングの準備をするために会議室に入った時、初めてその(トレーニングの)映像を見せられました。私はすぐにそれを止めるよう指示しました。その日の夕方に行われた試合での我々の戦い方に、その映像は何の影響も与えていません」

「ミドルズブラとの準決勝に向けた準備を振り返ると、我々は月曜日にコーチングスタッフのミーティングを行いました。試合の準備をする中で、ミドルズブラがヘイデン・ハックニーを起用してくるかどうか、また彼が試合に向けて万全な状態に戻っているかどうかを知りたいと考えました。そして月曜日に、彼が試合に出場できる状態にあるかどうかを確認するため、トレーニングセッションを観察する人間を派遣することを決定しました」

「我々は火曜日にトレーニングを行い、水曜日に準備を終えました。そして水曜日に、選手たちにスタメンのラインナップを伝え、戦術的な準備を終えました。我々はトレーニングセッションを公開し、水曜日のミーティングの内容も共有しました」

「これらの一連の事案における“痛烈な皮肉”は、起きたことのすべてが、ピッチ上でのスポーツ的なパフォーマンスには、何ひとつ影響を与えていなかったという点にあります」

「私はこれを、言い訳として使いたいわけではありません。しかし、皆さんに誠実さと明確さを約束した以上、少しの経緯はお伝えしたいと考えました。何が起きたのかについて、皆さんはその背景を知る権利があると思うからです」

「試合で違いを生み出してきたのは選手たちであり、いつだって選手たち自身でした。このフットボールクラブをプレミアリーグに戻すために、何カ月もの間、プライベートの生活ですべてを犠牲にして、あらゆるものを捧げてくれたのは選手たちなのです」

「私は若い指導者であり、過ちを犯しました。その全責任は私にあります。このような状況の中でも、特に私を支え続けてくれたドラガン(・ショラク オーナー)と取締役会のサポートに感謝いたします」

「私が今お話ししたすべてのことは、用意された原稿も、あらかじめ決められた声明もありません。私の心から、皆さんに直接語りかけています。ここ数週間の間に何が起きたのか、その全体像を皆さんに理解していただけることを願っています。そして、時間が経つにつれて、皆さんが理解し、許してくださることを願っています。また近いうちに、皆さんとお会いできることを楽しみにしています」

 自分たちが犯した違反行為について謝罪とともに経緯を説明したエッカート監督。ただ、イングランドサッカー協会(FA)はエッカート監督の行為についての調査を継続しており、処分はまだ決定していない。クラブはチームに留めるつもりのようだが、最終処分次第ではイングランドサッカー界から追放される可能性もある。さらに、実際に現場に足を運びスパイ行為に及んだスタッフは、圧力を受けて実行したことを表明しており、いずれにしても大きな責任を問われる可能性は避けられなさそうだ。

【動画】サウサンプトン指揮官がスパイ行為について謝罪と弁明