空前の株価、高支持率を演出=過熱する投資、ひずみも―韓国・李在明政権1年

なぜ?AI需要で空調市場に注目

 【ソウル時事】韓国の李在明政権は4日、発足から1年を迎える。60%台の高支持率を維持する背景には、空前の株高がある。総合株価指数(KOSPI)は大統領選の公約である5000をはるかに超える8000に達した。しかし、借金による株式投資が増加するなど社会のひずみも浮き彫りになっている。
 ◇「乗り遅れるな」
 昨年6月4日のKOSPI終値は2771。1年で約3倍になった計算だ。韓国取引所によると今年1~5月の上昇率は、20カ国・地域(G20)で圧倒的1位。昨年12月時点の個人株主数は人口の約3割に当たる約1440万人と過去最高を記録した。「年内にKOSPI1万」の声も上がる。
 ソウルで働く40代の女性会社員は「周りで株を買っていない人が見当たらないほど。乗り遅れてはいけないとせき立てられる感じだ」と話す。
 韓国では長年、資産形成手段として不動産が重視されてきたが、李氏は「株式市場の正常化」を訴え、投資を不動産から株式に移すよう奨励。政府は個人株主の権限を強化する商法改正を行った。金融政策に詳しい韓国・仁荷大の李※煥(※王ヘンに民)教授は「不動産は都市と地方で値上がりに差があり、果実が全国に広がらない。企業への投資活性化を重視した」と解説する。
 ◇政治的思惑も
 とはいえ、株高の最大の要因は人工知能(AI)ブームを受けた半導体の好況だ。サムスン電子とSKハイニックスがKOSPI市場の時価総額の5割以上を占める。李教授は「政権発足が半導体の好況期と重なる幸運に恵まれた」と語る。
 「不動産より株式投資」には、政治的な思惑もあるといわれる。不動産取引で利益を得られる「持てる者」は少数。株式は小額投資も可能で間口が広く、支持率につながりやすいためだ。
 世論調査機関「韓国ギャラップ」の許珍宰理事は、高支持率の背景として「公約のKOSPI5000を超え、大統領の『有言実行』への評価が広がったのではないか」と指摘した。
 ◇投資がギャンブル化
 一方で、李教授によると、韓国経済は半導体や自動車など一部大企業に依存する偏った構造だ。中小企業の多くは経営に苦しみ、低成長が恒常化。「将来への希望が持てない若者の間では投資がギャンブル化している」という。
 首都圏では不動産価格が高止まりし、庶民には手が届かない。大企業と中小企業の賃金格差が大きく、若者の就職難も社会問題化。人生の「一発逆転」を賭けて「ハイリターン」を求める傾向が強まっているとされる。金融投資協会によると、5月28日時点で株式投資のための負債残高は約37兆ウォン(約3兆9000億円)に上る。 
〔写真説明〕韓国の総合株価指数(KOSPI)が8000を突破し、祝う人々=5月26日、ソウル(EPA時事)
〔写真説明〕インタビューに答える韓国・仁荷大の李※(王ヘンに民)煥教授=5月22日、ソウル近郊・仁川