AIでクマ検知、24時間自動で撃退=スプレー噴射、効果を検証―全国で導入目指す・岐阜

白熱するデータセンター空調市場

 全国で市街地へのクマの出没が相次ぐ中、岐阜県飛騨市で人工知能(AI)を活用し、クマを撃退する実証実験が行われている。カメラの映像をAIで解析し、退治用のスプレーを自動噴射する仕組みで、山間部などでも24時間稼働させられるのが特徴。実験を進める岐阜大野生動物資源学研究室の森部絢嗣准教授は「(クマ対策の)自動化の第一歩として大事だ」と評価する。
 実験しているのは、AIを使った遠隔監視に取り組む「ハイク」(北海道旭川市)が開発した「AIBeS(アイベス)」。熱源などから動物を感知するとカメラが起動し、AIがクマと判断すると、設置した市販のクマスプレーを自動的に噴射させる。これまでクマが嫌がる音をスピーカーで流したり、光を点滅させたりして追い払う対策が取られてきたが、クマがこれに慣れてきた恐れがあり、スプレーに着目したという。
 アイベスは肉眼で見分けがつきにくい夜間などでも、約15メートル先のクマを判断できる精度を誇る。スプレーの噴射距離は5~10メートルほどで、太陽光パネルで電力を確保するため、電源工事なども不要。クマが好んで訪れる果樹園などに設置し、危険な場所として学習させて近寄らせないようにする。
 現在は2カ所に設置されており、今後、設置場所をさらに増やし、噴射時のクマの行動や出没頻度の変化などの詳細なデータを集める方針。森部准教授は「万能の対策なわけではなく、いろいろなやり方のうちの一つ」と話す。実証は同社と岐阜大、飛騨市が連携し9月末まで行う。
 ハイクは実証実験の結果を踏まえ、全国の自治体などにアイベスを売り込んでいきたい考えだ。同社の早川祐太代表取締役は、遠隔地や夜間のクマ出没に対する自治体職員らの迅速な対応が課題となっていることを踏まえ、「人による24時間の監視は難しいので、AIや機械に頼った方が良い」と話している。 
〔写真説明〕自動でクマを撃退する「AIBeS」と、実証実験を担う岐阜大の森部絢嗣准教授=5月29日、岐阜県飛騨市