【北京時事】中国・北京で14、15両日に行われた米中首脳会談では、台湾問題を巡り中国の習近平国家主席が異例の強硬発言でくぎを刺した。トランプ米大統領が習氏の要求をのみ、台湾向け大量武器売却を断念するのかが当面の焦点となる。中国は農産物購入など経済カードで米側を揺さぶる構えで、9月の習氏訪米へ駆け引きが加速しそうだ。
会談で習氏は「台湾問題の処理を誤れば米中が衝突して非常に危険な状況に陥る」と、脅しとも受け取れる強い表現で警告した。トランプ氏は会談後に放映されたインタビューで「誰かが独立するのを望んでいない」と明言。習氏の要求を踏まえたかのような発言だが、トランプ氏は15日、記者団に「台湾問題は協議したが何も約束しなかった」とも説明。米軍が台湾有事に介入するか習氏に問われ「それは話さない」と突っぱねたことも明かした。
一方、中国共産党機関紙系の環球時報(電子版)は16日、中国が敵視する台湾の頼清徳政権を念頭に「トランプ氏が発した『独立を望まない』の言葉で台湾独立勢力の幻想は打ち砕かれた」とする論評記事を掲載。「米国が台湾独立のために戦争リスクを負うことはあり得ない」と断じた。
習氏が台湾問題に固執する中、トランプ氏は140億ドル(約2兆2000億円)規模とされる台湾向け武器売却案を重要な交渉カードにしている。台湾統一のため武力行使も辞さない構えの習政権としては、台湾の防衛力強化は何としても阻止したいところ。トランプ氏が売却を決めた場合、中国側は台湾周辺で大規模軍事演習を行うなど威嚇で応じる可能性があり、習氏が警告した通り「危険な状況」に陥る事態も予想される。
中国商務省は16日、今回の首脳会談で、米中双方が関税を引き下げる方針で一致したと発表。米ホワイトハウスは17日、中国が3年間にわたり少なくとも年170億ドル(約2兆7000億円)の米農産物を輸入するほか、レアアース(希土類)を含む重要鉱物について、中国が米側の懸念に対処することになったと説明した。習政権は、11月の中間選挙までに「成果」が欲しいトランプ氏側の足元を見て、「アメとムチ」で武器売却の阻止を図る戦術だ。
〔写真説明〕トランプ米大統領(右)と中国の習近平国家主席(AFP時事)