東京科学大などの研究チームは18日までに、潰瘍性大腸炎の患者では、本来小腸にある細胞が大腸に現れ、傷ついた粘膜の修復を助けていることが分かったと発表した。この細胞の役割はこれまで十分解明されていなかったため、治療の考え方に新たな視点を与えそうだ。論文は英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。
慢性炎症が長く続くとその臓器にない細胞が現れることがあり、潰瘍性大腸炎では小腸にある「パネート細胞」が大腸に見られる。細菌から腸を守る働きを持つ細胞だが、大腸での働きは今回の研究で明らかになった。
伊藤剛助教らの研究チームは、患者の組織や腸の働きを再現したオルガノイド(ミニ臓器)を解析した結果、炎症の強さとパネート細胞の出現に関連があることを確認。この細胞が細菌を攻撃するたんぱく質を出し、粘膜の細胞増殖を促して傷の修復を助けていることが分かった。
一方、これらの変化が長期間続くことで、がんにつながる可能性もあり、今後詳しい検証が必要だという。
潰瘍性大腸炎は原因不明の病気で、厚生労働省が指定する難病の一つ。国内の患者数は増加しており、研究チームは「病態理解や治療戦略に新たな視点を提示する成果だ」と話している。