【ワシントン時事】トランプ米政権がキューバに対する圧力を強めている。体制転換を辞さない構えで1月末から事実上の石油供給遮断を断行。燃料不足による停電が深刻化し、市民生活に影響が出ている。一方で、1億ドル(約158億円)の経済支援を持ち出して対話を呼び掛けるなど硬軟両様で揺さぶっている。
米CNNテレビは、情報収集を行う米軍のP8A哨戒機などが2月4日以降少なくとも25回、キューバ沖を飛行したと報じた。米軍によるベネズエラやイランへの軍事作戦の前にも同様の動きがあったといい、トランプ大統領がキューバでも軍事行動を模索しているとの見方が出ている。
また、1996年のキューバ軍機による航空機撃墜事件に絡み、ロイター通信は、米政府が20日にもラウル・カストロ元国家評議会議長(94)の起訴を発表すると報道。退任後も強い影響力を持つラウル氏の立件は、「麻薬テロ共謀罪」を理由に敢行した今年1月のベネズエラのマドゥロ大統領拘束作戦を想起させる動きだ。
ただ、米アメリカン大のウィリアム・レオグランド教授(南米政治)は「トランプ氏は(軍事的圧力を)交渉カードに使う可能性の方が高い」と指摘。マドゥロ氏に権力が集中していたベネズエラと異なり、1人の指導者を拘束したり、殺害したりすることでキューバ政府の方針を一変させることはできないと分析する。
実際にトランプ氏はSNSで「キューバは助けを求めており、われわれは話し合うつもりだ」と主張。米国務省は13日、人道支援団体などと連携し、1億ドルの直接援助を提供する用意があると説明した。中央情報局(CIA)のラトクリフ長官が14日、キューバを訪問し、内務省高官と会談している。ラトクリフ氏は、経済や安全保障での協力には「根本的な変化」が必要だとするトランプ氏のメッセージを、ディアスカネル政権に伝えたという。
レオグランド氏は、米国の投資を可能にするために経済を開放させることに焦点を当てた交渉であれば、合意の可能性はあると指摘。その上で、「ルビオ国務長官がほのめかすように、政治体制の大幅な変更を求めれば、交渉は失敗するだろう」と強調した。
〔写真説明〕トランプ米大統領(右)とキューバのディアスカネル大統領(AFP時事)