米スペースX株公開に熱視線=過去最高の資金調達か=マスク氏構想、実現へ弾み

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 【ニューヨーク時事】米株式市場で、実業家イーロン・マスク氏が率いる宇宙企業スペースXの新規株式公開(IPO)に注目が集まっている。米メディアによれば、6月12日にも見込まれ、調達額は最大750億ドル(約11兆9000億円)規模。2019年のサウジアラビア国営石油会社サウジアラムコによるIPOを上回り、過去最高となる可能性がある。実現すれば、宇宙船や人工知能(AI)など多分野にまたがるマスク氏の野心的な構想の具現化に弾みがつきそうだ。
 マスク氏は02年、将来の人類の火星移住を掲げてスペースXを設立。同社は衛星通信網「スターリンク」や宇宙船事業などを展開し、今年2月に同じくマスク氏が率いるAI企業「xAI」と統合したと公表した。4月にはAI新興「Cursor(カーソル)」を600億ドルで買収する権利を取得したと明らかにしている。
 スペースXはIPOでの資金調達により、多数の人工衛星で宇宙につくる「軌道データセンター」の開発を加速させるもようだ。また、マスク氏が経営する電気自動車大手テスラとともに巨大半導体工場も整備し、他社に後れを取るAI分野で巻き返しを図りたい考えとみられる。
 AI需要拡大に伴い、電力消費の大きいデータセンターの増設は急務だ。土地の確保も難しくなる中、IPOの成功で太陽光発電を利用する軌道データセンターを整備すれば、AIの社会への浸透が勢いづく見通し。人型ロボットの開発など、マスク氏が描く他の構想にも追い風が吹きそうだ。
 「サイエンス・フィクションを科学的事実に変える」(マスク氏)。この壮大な構想には当然、実現性への懸念も付きまとう。巨額の資金調達に見合う業績を挙げるかも未知数だ。
 宇宙分野に特化した米投資ファンド「スペース・キャピタル」のアンダーソン最高経営責任者(CEO)は米テレビ番組で、軌道データセンターなどに技術的な課題があると指摘しつつ、スペースXに出資する投資家は「現在ではなく、これから50年間に投資している」と強調した。 
〔写真説明〕米スペースXやテスラを経営する実業家のイーロン・マスク氏=2025年、ワシントン(AFP時事)