ドローンが跋扈する現代の戦場で生き残るため、アメリカ軍は迫撃砲の自走化に向けて既存車両に搭載可能な迫撃砲システムを導入しています。
軽量車体をベースにしたことで空輸も可能
偵察や攻撃に用いる小型ドローンの普及により、現代の火砲には「シュート&スクート(射撃後の迅速な離脱)」が強く求められるようになりました。こうした環境のなかで、アメリカ陸軍は歩兵部隊配備の迫撃砲を簡易に自走化する、あるシステムを導入しました。それが「スコーピオン」です。
「スコーピオン」は、既存の車両に81mmまたは120mm迫撃砲を搭載するシステムです。スペインのNTGS社が「アラクラン」の名で開発し、すでにウクライナなどいくつかの軍で採用されています。アメリカ陸軍は太平洋方面の即応部隊である第25歩兵師団へ、81mm迫撃砲型を試験導入しており、現在フィリピンで開催中の多国間共同訓練「バリカタン26」に、本車がその姿を現しました。
アメリカ陸軍では汎用車両ISV(歩兵分隊車両)をベース車両とし、荷台部分に可動式の砲と砲弾72発を搭載しています。射撃時には、サソリの尾のように後部に搭載された砲をアームで展開させます。接地面のベースプレートが衝撃を吸収するため、舗装路面上からも射撃が可能です。
発表によれば、展開から8発の射撃、そして離脱をわずか2分以内に完了する迅速な射撃能力を備えています。また、軽量なISVをベース車両としたことで、本システムはCH-47大型輸送ヘリコプターへの積載や、UH-60多用途ヘリコプターによる吊り下げ(スリング)空輸が可能であり、機動性にも優れている点が特徴です。
高価な専用車体を必要とせず、簡易かつ安価に自走迫撃砲化できる「スコーピオン(アラクラン)」は、ドローンが戦場を席巻する現代において、迫撃砲の生存性と攻撃性を高める有効な手段と言えるでしょう。