【ワシントン時事】トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は14、15両日、北京で首脳会談を行う。この中で主要議題の一つとなるのは台湾問題だ。トランプ政権は台湾の独立を「支持しない」とする従来の方針を堅持しているが、習氏がトランプ氏からさらなる譲歩を引き出すことを警戒する声が米専門家の間で強まっている。
「イラン情勢で勝利がなく、トランプ氏は勝利を求めている。中国が有利な発言を引き出そうと試みることは可能だ」。米ブルッキングス研究所のパトリシア・キム上級研究員は、台湾独立を「支持しない」という立場から「反対する」と明言するよう、習氏がトランプ氏に迫る可能性があるとみる。
米歴代政権が堅持してきた「一つの中国」政策は、三つの米中共同コミュニケや台湾への武器売却などを定めた台湾関係法などから成る。「台湾は中国の一部」という中国の主張を認識し、台湾問題の「平和的解決」を求めつつ、台湾独立は「支持しない」という立場だ。
台湾海峡の平和と安定に寄与してきた外交政策だけに、微妙な表現の修正が複雑な歴史をたどってきた中台関係に及ぼす影響は大きい。11月の中間選挙に向けて外交成果を切望するトランプ氏が、大規模な貿易合意の見返りに中国側の要望に応じれば、台湾のほか、日本など同盟国の間で対米不信が深まるのは必至だ。
バイデン前政権下の国家安全保障会議(NSC)で日本などを担当したミラ・ラップフーパー氏は、昨年11月の高市早苗首相の台湾有事に関する発言で、トランプ政権が中国に配慮し、日本の支持に消極的だったことに言及。米国の台湾関与の姿勢が後退した場合、「同盟国に重大な影響を及ぼす。日本はその中心だ」と述べ、日本政府による安保3文書の改定の議論を左右する可能性もあると指摘する。
一方、第1次トランプ政権下で国家安全保障担当の大統領補佐官を務めたロバート・オブライエン氏は4月、ワシントン市内での会合で「台湾を失う初の大統領になるつもりはない。それはトランプ氏が求めるレガシー(政治的遺産)ではない」と述べ、台湾問題を巡る懸念の払拭に努めた。
オブライエン氏は「トランプ氏が最も避けたいのは台湾海峡で危機が勃発することだ。今後も静かに台湾を支援し続けるだろう」と強調。また、「台湾問題で首脳会談を台無しにすることも中国側は望まないだろう」と語った。
〔写真説明〕台湾総統府=2024年1月、台北(AFP時事)