飛んでいるドローンを「爆弾」で撃墜!?「最強の戦闘爆撃」が試みた驚きの戦術とは? じつは「35年前にヘリ撃墜した伝説」あるんだけど

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2024年4月、イランによるイスラエルへの大規模攻撃。約300機のドローンとミサイルが夜空を覆う中、迎撃にあたったアメリカ空軍のF-15Eは、なんと対地攻撃用の「レーザー誘導爆弾」で撃墜しようと試みました。

教範にない驚きの戦術を試したわけ

 2024年4月13日の夜、イランはイスラエルに対して約300機の無人機とミサイルを発射しました。これに対し、イスラエル側は濃密な防空体制を敷き、この日の攻撃は実に99%が空中で迎撃され無効化されるという、防御側の圧倒的な成功に終わっています。

 なお、防空戦にはイスラエル空軍だけではなく、イギリスやアメリカ、ヨルダンなどの戦闘機も参加しています。そして、その中にアメリカ空軍のF-15E「ストライクイーグル」がいました。

 F-15Eは本来、長距離精密打撃を主任務とする双発複座の戦闘爆撃機ですが、もともと制空戦闘機だったF-15を原型としていることから空戦能力も高く、ドローン迎撃にも有効であることが実証されています。

 そのF-15Eが、13日夜、教範にない選択を迫られることになります。その戦術とは、「レーザーJDAM」レーザー誘導爆弾による空中目標の撃墜です。ただ、本来「レーザーJDAM」は地上目標に対するピンポイント打撃を主任務とする兵装であり、固定目標や低速の移動目標に対して用いられる対地爆弾です。

 とはいえ、理論的には発射母機または他のプラットフォームからのレーザー照射を維持できる限り、移動する空中目標に対しても誘導は成立します。この性能を活用する形で、なんと対地攻撃用のレーザー誘導爆弾を、アメリカ空軍はドローン迎撃に転用したのです。

 ただ問題は、それが戦術的に現実的かどうかにありました。F-15Eの乗員がこの手段に踏み切った背景には、弾薬消耗という極めて現実的な制約がありました。ドローンの飽和投入は、防空側にとってコストと数量の不均衡を突く典型的な戦法であり、高価な空対空ミサイルを多数消費させること自体が攻撃側の狙いとなりえます。

 迎撃機がミサイルを使い果たした場合、残された選択肢は急速に狭まり、そうした状況下で、機上に残されたレーザー誘導爆弾を「空対空兵器」として転用する発想が試行されたのです。

35年前に米軍戦闘機が採った衝撃の撃墜方法

 ちなみに、このような使い方が完全な空想ではないことは、歴史が示しています。1991年の湾岸戦争において、アメリカ空軍のF-15Eがホバリング中のMi-24D「ハインド」ヘリコプターに対し2000ポンド級の「ペイブウェイ」レーザー誘導爆弾を命中させ撃墜した事例が存在します。

 静止に近い状態のヘリコプターという条件ではありましたが、この35年前の戦果は、誘導爆弾による空中目標の撃破が理論のみならず実戦においても成立し得ることを証明した出来事だったといえるでしょう。

 しかし、今回のイスラエルのケースでは、結果として成功に至らなかったと見られています。これはむしろ当然の帰結とも言えるかもしれません。ドローンは小型であり、低速とはいえ100km/h以上で飛行します。一方、投下兵器であるレーザー誘導爆弾は、空対空ミサイルのような推進力や高機動性、追尾能力を備えておらず、命中には極めて厳格な投下条件と持続的なレーザー照射が求められます。

 それでもなお、この試みが持つ意味は軽視できません。ドローンは、しばしば空対空ミサイルよりもはるかに低コストで大量投入され、防御側に弾薬消耗という構造的負担を強いてきます。

 迎撃側がミサイルを撃ち尽くした後に採れる手段は限られており、F-15Eに搭載された20mm機関砲「バルカン」もその1つではあるものの、高速で飛行する戦闘機が低速目標を機関砲で捕捉する場合、接近に伴う衝突リスクという別種の危険を孕みます。

 こうした制約の中で、あえて精密誘導爆弾を空対空用途に転用しようとする発想は、持続的戦闘能力を最大化しようとする合理的試行と位置付けられるのではないでしょうか。有限の兵装をいかに柔軟に運用し得るか、2024年4月13日の夜に試みられたこの一挙は、失敗であったとはいえ、F-15Eの可能性を最大限に発揮しようとした例だと言えるでしょう。