山口県の第三セクター鉄道「錦川鉄道」。川西~錦川間32.7kmを結ぶ路線ですが、全列車がJR岩国駅まで直通しています。錦川清流線という路線名の通り、錦川の美しい景観を生かした取り組みも多く見られるこの路線に乗りました。
全線が錦川沿いを走る
錦川鉄道錦川清流線は、山口県の川西~錦川間を結ぶ第三セクター鉄道です。元々は山陽本線岩国駅から山口線の日原駅を結ぶ計画であり、岩国と日原を1文字ずつ取って「岩日線」と命名されました。
開業は、ローカル線としては比較的新しい1960(昭和35)年。当初は川西~河山間の運行でしたが、1963(昭和38)年に河山~錦川が開通し現在に至ります。
なお、1967(昭和42)年から錦川~日原間の建設を開始し、途中の六日市まではトンネルと路盤がほぼ完成していました。現在では一部が「岩日北線記念公園」として整備され、タイヤ付きの遊覧車「とことこトレイン」として途中の雙津峡温泉駅まで運行されています。
2026年1月の木曜、錦川鉄道に乗車しました。全列車が山陽本線の岩国駅まで直通しますが、遠方からであれば、山陽新幹線の新岩国駅から錦川鉄道の清流新岩国駅への乗り換えが便利です。ただ、国鉄時代から新幹線との接続は考慮されていないダイヤであり、事前に時刻を調べる必要があります。
なお、国鉄時代は新岩国駅と岩日線御庄駅は、500mほどの距離なのに乗換駅扱いをされておらず、運賃の通算もできませんでした。乗り換え可能なのに別の駅として、当時唯一の存在でした。
500系「ハローキティ新幹線」の「こだま849号」が新岩国14時29分着、錦川鉄道529D列車錦川行きは清流新岩国14時41分発ですから、良い接続です。
NT3000形気動車が単行で到着します。乗客は、筆者(安藤昌季:乗りものライター)を含む乗り換え2人を加えた13人。車内は転換式クロスシートとロングシートの組み合わせ。クロスシートには折りたたみ式テーブルも備わるなど、グレードが高い車両です。枕カバーに路線図と路線の見どころが書いてあるのは、景観を売りとした鉄道路線らしさを感じます。ただ、窓と座席の位置が合わないことだけは、仕方ないのですが残念です。
ホームから清流を眺めるため“だけ”の駅?
かさ神神社から駅名を貰った守内かさ神では乗降なし。南河内駅では2人下車、6人乗車と大きな動きがあります。乗り込んできたのは中学生でした。
南河内駅から行渡駅の間は錦川の景観が美しく、徐行運転も行われます。行渡駅では6人下車。北河内駅は列車交換駅で、2人下車します。北河内を出ると車内放送があり「清流の滝が見えます」と案内も流れます。基本的に進行方向右側の景色が良い路線ですが、滝と駅を見る時は左側です。
椋野駅は乗降なし。再び車内放送でかじかの滝が案内されます。カジカガエルが生息しているらしいですが、もちろん車窓からは見えません。南桑駅では2人下車。結構動きのある路線です。
次の「清流みはらし駅」は駅からどこに行くこともできません。これは、日本でも恐らく唯一の駅でしょう。ホームから清流を眺めるために造られた駅のため、停車するのはイベント列車のみです。
列車はゆっくりと真新しい新駅を通過すると、錦川みはらしの滝が案内されます。
根笠駅、河山駅、柳瀬駅と乗降がありませんが、何度も流されたという沈下橋が目を楽しませます。ずっと寄り添った錦川を鉄橋で越えると終点の錦町駅です。私を含めて5人が乗り通しました。町を散策しましたが、市街地は小さめで、地元需要だけでは厳しいだろうと感じられます。
錦町駅には車両基地があり、構内にはJR烏山線からやってきた国鉄形のキハ40形気動車が休んでいました。折り返しの岩国行きは3人が乗車し、途中で2人が乗車しただけで、がら空きのまま進みましたが、JRに入った川西駅で20人が乗車し、盛況となって、岩国駅に到着しました。
とにかく景観が素晴らしい路線で、桜の季節や紅葉、雪の季節などであれば、最高の景色が楽しめるでしょう。