【ワシントン時事】11月の米中間選挙に向け、連邦議会の主導権争いに少なからぬ影響を及ぼす下院選挙区割りを巡る攻防が再燃している。連邦最高裁が、黒人など少数派(マイノリティー)に配慮した区割り設定を認める「投票権法」を制限する判決を下したからだ。民主党が防戦に立たされる一方、共和党は新たな区割り再編に乗り出すが、戦略が裏目に出るとの懸念もくすぶる。
「私好みの判決だ」。議会の多数派維持を狙うトランプ大統領は4月29日、最高裁判決を受け記者団にこう述べ、共和党に有利になるような恣意(しい)的な選挙区割り「ゲリマンダー」を進めるべきだとの考えを示した。
与野党は昨年夏ごろから、地盤州で数を頼みに区割り再編を断行する「ゲリマンダー戦争」を展開。中間選挙予備選の本格化を前に、共和党が5州で最大13議席、民主党は3州で最大10議席を積み増す再編で決着がついたとみられていた。
しかし、今回の最高裁判決を受け、共和党は再びゲリマンダーに着手。黒人が住民の多数を占め、民主党が議席を保持する選挙区が二つある南部ルイジアナ州では、予備選の期日を延期して区割り変更を目指す方針だ。南部のサウスカロライナ、テネシー両州などでも検討が進む。
打撃を避けられない民主党は「公民権運動の精神に反する」(上院トップのシューマー院内総務)と訴え、判決の影響を最小限に抑えようと懸命だ。マイノリティーは同党を支持する割合が高く、黒人住民が多数を占める選挙区の減少を防ぐため、対抗措置の検討を急いでいる。
もっとも、区割り変更による議席数見込みは、過去の選挙結果などに基づく試算に過ぎず、思惑通りになるかは見通せない。特に共和党はトランプ政権の支持率低下に伴い、最近の地方選挙で苦戦が続いており、持ち票を他の選挙区に振り向けることで当選が危うくなると警戒する候補者も多い。党内からは、議席増になるはずが逆効果になるリスクをはらむとして、「ダミーマンダー(間抜けな区割り)」と嘆く声も上がっている。
〔写真説明〕選挙区割りを確認する有権者=2025年8月、米南部テキサス州ヒューストン(AFP時事)