【ワシントン時事】米国のキャンベル前国務副長官は27日、時事通信とのインタビューに応じ、5月中旬の米中首脳会談を控え、中国が台湾問題を巡って「野心を抱いている」と強調した。中国の習近平国家主席がトランプ米大統領に対し、台湾独立への「反対」を宣言するよう直接働き掛けることへの警戒感を示した。
トランプ氏は5月14~15日の日程で中国・北京を訪問。習氏との会談では、中国による米国産農産物の購入拡大など大型商談の成立を目指す。一方、習氏が見返りとして、歴代米政権が維持してきた台湾独立を「支持しない」という立場を「反対する」に変更するようトランプ氏に求めると懸念する声が出ている。
キャンベル氏は、習氏がトランプ氏訪中を望む理由として「台湾問題が極めて重要な位置を占めている」と指摘。中国が訪問に懸念を示していない点は「異例だ」とし、「何らかの戦略があることを示唆している。会談を通じ、成し遂げたい狙いがあるのだろう」と警鐘を鳴らした。
昨年の米中貿易戦争では、トランプ政権の関税引き上げに習政権がレアアース(希土類)の輸出規制強化で対抗し、双方が緊張緩和で歩み寄った。キャンベル氏は重要鉱物の対中依存からの脱却には「数年かかる。中国が独占的に支配している」と分析。トランプ氏が会談で「レアアースなどを報復手段として利用しないよう確約を求めるだろう」と予測する。
米国の対イラン攻撃を巡っては、米軍が日本を含むインド太平洋地域からミサイルや海兵隊などの戦力を引き抜いて中東に投入し、「抑止力の質に影響を及ぼしている」と警告。「局地的紛争ながら、世界的な影響力が極めて大きい」と述べ、東南アジア諸国を中心に燃料不足を引き起こしている現状への危機感をあらわにした。
一方、日本政府が防衛装備移転三原則と運用指針を改定し、武器輸出を原則可能としたことに対し、「遅過ぎたくらいだ」と述べつつ、「『普通の国』として各国とより緊密な安全保障上の協力を構築できるようになるべきだ」と評価した。
また、インテリジェンス(情報収集・分析)能力を強化する「国家情報会議」などの設置に関しても、国家安全保障会議(NSC)発足をはじめとする取り組みからの「自然な流れだ」と支持を表明。創設に向け、「米国としても相当な支援が可能だろう」と語った。
〔写真説明〕インタビューに応じるキャンベル前米国務副長官=27日、ワシントン