最新「無人システム」が使い物にならない!? 米軍の掃海部隊がボロボロな理由 機雷処理で“世界屈指の海自”に白羽の矢が立つ日

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現在、アメリカ海軍はイランの港湾の封鎖と、戦略的に重要なホルムズ海峡の掃海という任務を同時に与えられています。しかし、この掃海分野こそ米海軍の意外な弱点となっています。いったい何が起こっているのでしょうか。

ホルムズ海峡の封鎖と掃海問題

 2026年4月後半時点で、ペルシャ湾のホルムズ海峡では、イランとアメリカの双方が、関与する船舶を封鎖の対象とするという複雑な状況になっています。ただ、そのなかで一連の軍事衝突の発生以来、米軍艦艇がホルムズ海峡に進入した主目的が、機雷除去の準備としての海域の安全確保である点に注目すべきでしょう。

 各種報道によれば、4月初旬からイランがホルムズ海峡一帯に機雷敷設を実施した模様です。今後、停戦合意が果たされて民間船舶が通行可能になっても、機雷が存在していては意味がないため、掃海を実施するのは当然の判断です。また同時に、掃海範囲を拡大することで、イランが再び機雷敷設しにくくすることも狙いに含まれます。

 この掃海作戦に際して、トランプ米大統領はSNSで「世界各国のため、ホルムズ海峡の機雷を一掃する作業を始めている」と投稿し、同盟国や関係国のシーレーン確保を名目とした行動であることを強調しています。

 実際、4月中旬時点で、アメリカ海軍はミサイル駆逐艦「フランク・E・ピーターセン」と「マイケル・マーフィー」の2隻を、掃海任務の一環でホルムズ海峡に投入したと発表しています。

 ただ、ミサイル駆逐艦には掃海能力はありませんから、この動きは周辺海域の安全を確保して、続く掃海部隊の護衛に就かせるという判断なのでしょう。しかし、実際に掃海を実施するとなると、アメリカ海軍には容易に乗り越えることが難しい壁に直面しそうです。

米海軍最新の掃海システム

 アメリカ海軍では長らく、木造船体をFRPコーティングした船体を持つアヴェンジャー級掃海艦を運用していました。しかし1990年代初期に就役した老朽艦であるため、退役が進み、2025年に一挙4隻が退役した結果、現在では、全14隻のうち4隻しか残っていません。

 これに代わって掃海の中核を期待されるのが、インディペンデンス級沿海域戦闘艦(LCS)です。このLCSに「MCMパッケージ(Mine Countermeasures:機雷対抗)」と呼ばれる無人機材のコンテナ・モジュールを搭載することで、掃海部隊を構成するのです。

 このパッケージの最大の特徴が徹底した無人化です。これまでのように磁気や音響を抑えた掃海艇が機雷原に進入せず、掃海艦が安全な場所から無人機だけを機雷原に送り込み、機雷の発見から処分まで無人で実施することが可能です。

 手順としては、まず母艦となるLCSから発進した自律航行可能な無人ボート「CUSV(Common Unmanned Surface Vehicle)」が、指定海域の機雷を捜索します。また必要に応じて、「ナイフフィッシュ」と呼ばれる無人潜水機が沈底機雷の探知と識別をします。

 一方、これと平行して多用途ヘリコプターMH-60Sが、レーザー式機雷探知システム(Airborne Laser Mine Detection System:ALMDS)で機雷を探知し、航空機搭載機雷処分システム(Airborne Mine Neutralization System:AMNS)で処分にあたる、という多層的な構成になっています。

米海軍の掃海能力がもたらす日本への難問

 アメリカ海軍のMCMパッケージの最大の利点は、従来のようなダイバーなどを危険にさらすことなく、完全な無人環境で機雷を発見、処分できる仕組みにあります。同様のシステムは現在、イギリスや日本でも導入が進んでいます。

 しかし、実際には悪天候時にはCUSVの発進と回収が困難であるほか、戦場という環境下では母艦と自律航行する無人ボートやヘリとのあいだで必要な大容量データの通信安定性が確立されていません。米戦争省(旧国防総省)の運用試験評価局の報告書でも、2026年3月時点で「実際の機雷戦環境で信頼性が保障されない」と手厳しく評価されている状況です。まだ掃海には有人技術による従来型の作業が不可欠なのです。

 実際、報告書にも、現状ではLCSとMCMパッケージ運用は、アヴェンジャー級のような専用の掃海機に比べて機能が限定的と明記されています。

 これを裏付けるように、今年(2026年)4月には佐世保基地(長崎県)配備のアヴェンジャー級掃海艦2隻を急遽ペルシャ湾に派遣する動きが報じられています。

 開戦以来、イランが大規模な機雷敷設を実施した動きはありません。実際には、夜陰に乗じた漁船や小型舟艇による散発的な敷設で、その数も数十個程度と見積もられています。

 しかし、アメリカ海軍の掃海能力がかなり低調である現状を鑑みると、充実した掃海部隊を持つ日本に「掃海支援」を要請する可能性はかなり高いと思われます。湾岸戦争後の1991年に派遣されたペルシャ湾掃海部隊の時より危険な状況下での決断となれば、日本では大きな政治問題になることは避けられないでしょう。