与党「緊急事態」改憲を加速=中道慎重、合区優先論も壁

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 23日の衆院憲法審査会で、与党は大規模災害時などに国会議員の任期延長を可能にする「緊急事態条項」に焦点を絞り、憲法改正の議論を加速させる姿勢を鮮明にした。中道改革連合は拙速な判断に難色。改憲勢力の中には、参院の合区解消を優先すべきだとの意見も根強く、与党の思惑通りに進むかは不透明だ。
 「緊急事態条項の議論をピン留めする意味でも、次回の審査会で具体的なイメージを明らかにしてはどうか」。自民党の新藤義孝元総務相は審査会でこう提案。連立政権を組む日本維新の会の西田薫氏らも同調した。
 高市早苗首相(自民総裁)は12日の党大会で、1年以内に国会発議のめどを付けると表明したが、ハードルは極めて高い。与党としては、野党にも賛同の声がある緊急事態条項を突破口に、改憲論議の前進を図りたい考えだ。
 これに対し、中道の国重徹氏は衆院解散時に機能を代替する参院の「緊急集会」規定が憲法にあると指摘し、参院側も含む丁寧な議論を求めた。与党の前のめりな姿勢に、中道幹部は「単に改憲の実績をつくりたいだけで、議論が後回しだ」と不快感を隠さない。
 改憲勢力の足並みもそろっていない。審査会で、国民民主党の玉木雄一郎代表は緊急事態条項の必要性を認めつつ、並行して合区解消にも取り組むよう主張。参政党の和田政宗氏は憲法9条の議論を「セット」で進めるよう訴えた。
 そもそも、自民内も参院側は合区解消を優先する立場。参院自民幹部は審査会に先立ち、国民民主の榛葉賀津也幹事長と会談し、参院の意向も踏まえた議論が必要だと伝えた。関係者によると、玉木氏はこれ以降、合区解消に言及し始めたという。
 衆院では7割超の圧倒的多数を握る与党だが、参院では国会発議に必要な定数(248)の3分2に46議席足りない。改憲に前向きな国民民主(25)や参政(15)を加えてもなお下回る。
 このため、与党が注目するのは21議席の公明党だ。政権当時、自民などと緊急事態条項の骨子案をまとめた経緯がある。ただ、衆院では中道に合流しており、西田実仁幹事長は「議論の深化が必要」と賛否の明言を避けている。 
〔写真説明〕衆院憲法審査会で発言する自民党の新藤義孝氏(左)=23日午前、国会内
〔写真説明〕衆院憲法審査会で発言する中道改革連合の国重徹氏=23日午前、国会内