「退職金か、娘の人生か」…父親が迫られた最後の選択とは【姉が帰らない理由 第12話】

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■これまでのあらすじ
初めて絵美を見た瞬間から自分にふさわしい女だと確信していた鋭斗。しかし、まったくなびかない絵美を攻略し兼ねていた。そんなとき、社内でトラブルが起こる。担当者が絵美の父・佐伯だったことから、鋭斗は取引として絵美を手に入れることに成功したのだった。


夜、スマホが鳴った。画面に「北見鋭斗」の文字。

脅しだった。あの件が再度問題になれば退職条件や再雇用の話に影響が出る——つまり退職金がなくなるかもしれないと。
その穏やかな口調のまま「父親として娘を説得してほしい」と相談された。

私は、これまで自分がしてきた選択と、その結果に向き合わねばならない。娘に結婚をお願いしたあの日、見て見ぬふりをしてきた日々、すべては「家族を守るため」だと思っていた。
しかし本当に守っていたのは、自分の立場や生活だったのかもしれない…。

そんな私に、妻が語りかけてきた。娘の変化に気づいていたこと、それでも何も言えなかったこと。
退職金を失ってもいい、生活が変わってもいい。
もう終わりにしよう。許されないけど、絵美に謝罪しなければ…。

イラスト:まりお